ヤマト・佐川・日本郵便・西濃・福通の物流5社、埼玉県秩父市の山間地域で共同配送へ

ヤマト・佐川・日本郵便・西濃・福通の物流5社、埼玉県秩父市の山間地域で共同配送へ

まずプレサービス展開、成果と課題踏まえ23年度以降の本格運用開始目指す

埼玉・秩父地方の物流業務効率化などに取り組んでいる「秩父市生活交通・物流融合推進協議会」(会長:早稲田大学・小野田弘士教授)は9月20日、埼玉県秩父市の大滝地域で、大手物流企業5社による共同物流サービスを期間限定で実施すると発表した。

同地域は人口減少や高齢化率の上昇に伴い、日用品確保など日常生活を支えるインフラとして、宅配サービスの重要性が日々高まっている。一方、物流業界はドライバー不足やEC普及に伴う山間地域の配送エリア拡大を受けた配送効率の低下が課題となっている。

地域と物流事業者双方に利益をもたらす物流モデルの構築と地域・物流課題の解決を目指し、9月27~29日3日間、秩父市と同協議会に参加しているヤマト運輸、佐川急便、日本郵便の3社と協力会社の西濃運輸、福山通運の計5社が連携し、共同配送のプレサービスを実施。成果や課題を踏まえ、2023年度以降の本格運用を目指す。

22年度はプレサービスを通じて得られた成果を踏まえ、共同配送におけるオペレーションやコスト面での課題を抽出・整理。23年度以降、地元の物流事業者をサービスの体系に加え、ラストワンマイルの配送を地元の物流事業者が担うことで、「物流機能」と「高齢者を支援する地域の見守り(共助)機能」を兼ね備えた新しい物流モデルの構築とその実装を目標とする。

さらに、地図大手のゼンリンが開発する「位置情報ビッグデータを管理するデータ基盤」と、「街の活動状況を可視化するダッシュボードシステム」を用いて、共同配送の運行管理をシステム化し、全国へ展開することを視野に入れている。

プレサービスの運営方法と各社の役割は以下の通り。
①佐川急便、西濃運輸および福山通運は、大滝地域宛ての荷物を「ヤマト運輸 影森営業所」に持ち込む。
②各社の荷物を積み込んだヤマト運輸のトラックが「荒川郵便局」に立ち寄り、日本郵便の荷物を積み込む。
③大滝地域宛ての荷物を積み込んだヤマト運輸が、受取人の自宅まで荷物を配達する。


プレサービス概要(プレスリリースより引用)

同協議会は20年11月6日に設立。22年9月20日現在の構成員は、秩父市、ゼンリン、三菱総合研究所、JP楽天ロジスティクス、西武ホールディングス、西武鉄道、西武観光バス、アズコムデータセキュリティ、オプナス、早稲田大学、東京電力パワーグリット、本庄早稲田国際リサーチパーク、ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便の15者。

物流、生活交通、観光交通、医療等の多様な分野のサービスについて、「ドローン物流」「遠隔医療」「MaaS」(貨客混載・EV=電気自動車=カーシェアリング)などの先端技術を活用してヒトとモノの移動を最適化・効率化し、「Society5.0社会」の実現に向けた事業モデルを構築することを念頭に置いている。

(藤原秀行)

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