物の世界貿易量、コロナのパンデミック前水準を10%上回る

物の世界貿易量、コロナのパンデミック前水準を10%上回る

DHLと米NY大が報告書で指摘、東南・南アジア新興国が台頭と展望

独DHLと米ニューヨーク大学スターンビジネススクールは9月15日、世界の物の貿易に関する最も重要な傾向と見通しを地図にまとめた報告書「DHL Trade Growth Atlas」を発表した。

報告書は世界173カ国をカバーしており、世界の貿易、GDP、人口の99%以上を占める。政策立案者や産業界のリーダーにとって貴重なビジネスインテリジェンスを提供するのが狙い。

報告書は、世界貿易は新型コロナウイルスの世界的感染拡大(パンデミック)にもかかわらず、大方の予想に反して大幅な後退にはならず、パンデミック前の水準を10%上回る勢いで推移していると指摘。将来の貿易成長見通しについても「驚くほどポジティブ」とのスタンスを表明した。

ロシアのウクライナ侵攻で貿易成長率の予測自体は下方修正されたものの、2022~23年の貿易成長率は過去10年間の成長率をわずかに上回ると予測。ECの売り上げはパンデミック時に急増し、今後も越境ECの力強い成長が続くとみている。

また、 貿易成長の中心は東南~南アジア新興国で、サハラ以南のアフリカでの貿易成長の劇的な加速も予想。「貿易成長はより幅広い国々に広がる。近年の貿易成長の4分の1を中国が占め、今後も最大の成長継続が予測されるものの、その割合は13%程度に半減する」と解説。中国の成長ペースの減速とそれ以外の東南アジアなどの成長持続を見込んでいる。

26年までの貿易成長予測では、ベトナム、インド、フィリピンがスピードと規模の両面で突出。この3カ国は中国中心の生産・調達戦略の多様化を目指す多数企業の努力から恩恵を受ける可能性を示唆した。

2000~12年の間に新興国が世界貿易に占める割合は24%から40%に増加したが、その半分を中国が牽引している形はこの10年間ほとんど変化していないと説明。半面、「新興国は接続性、技術革新、先進企業などの指標で前進を続けている。新興国は洗練された製品の重要な輸出国になりつつあり、低コストだけでなく、技術革新や品質面でも競争力が増加している」と分析している。


「DHL Trade Growth Atlas」(DHL提供)


報告書の内容を説明するDHL Expressのジョン・ピアソンCEO(最高経営責任者)(DHL提供)

(藤原秀行)

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