先行投資かさみ赤字継続、コロナ禍で対面販売厳しく
東京商工リサーチによると、パナソニックグループで物流現場などの作業負荷を軽減する着用型ロボット「パワードウェア」を開発・販売してきたATOUN(アトウン、奈良市)が9月7日、奈良地裁から特別清算開始の決定を受けた。負債総額は2021年3月末時点で約3億5000万円。
ATOUNはパナソニック社員だった藤本弘道氏が2003年に設立。開発したパワードウェアは、空港の作業に採用されたほか、21年の東京パラリンピックの会場でも使われるなど、注目度が高まっていた。
しかし、研究開発に対する先行投資が大きく赤字が続き、補助金などに依存した資金繰りが続いていた。競争の激化に加え、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い対面営業が厳しくなり、4月末には事業を終了、解散を発表していた。
販売済みのパワードウェアの保守などは、既に産業機器製品の組み立て加工などを手掛けるアドバンス(奈良県川西町)が継承している。
ATOUNが手掛けていたパワードウェア
(藤原秀行)