航続距離やキャビン内静粛性を強化
ホンダの航空事業子会社Honda Aircraft Company(ホンダ エアクラフト カンパニー)は米国東部時間10月17日、超小型ビジネスジェット機HondaJet(ホンダジェット)の最新機種「HondaJet Elite II」を発表した。航続距離やキャビンの静粛性を高めたほか、新たな装備を導入している。
ビジネスジェット機は企業が出張などに用いる“社用ジェット機”。旅客機と異なり路線・ダイヤに束縛されず移動できるため、意思決定権者や熟練エンジニアといったキーパーソンを、ジャスト・イン・タイムで現場に送り込むロジスティクス手段として、米欧を中心に多用されている。キャビンはオフィスや商談スペースとして使われる。
近隣の地域を迅速に訪問するための超小型機(very light jet)から、大陸や大洋をノンストップ横断できる大型機まで、多様な機種が存在する。
HondaJet Elite IIのイメージ画像。機体カラーに新たに黒色を追加した(Honda Aircraft Company提供)
航続距離204km増、最大離陸重量91kg増
HondaJet Elite IIは従来機種のHondaJet Elite Sに対し、航続距離(乗員1人含む4人搭乗の場合)は204km増の2865km、最大離陸重量は91kg増の5035kgに性能を強化した。
また、主翼上面に装備して着陸後の減速に使用する装置グランドスポイラーを初搭載し、着陸時の機体ハンドリングと安定性を向上させた。機内壁の遮音性を刷新し、機内に流れ込む風切り音を抑制、ノイズ低減の工夫を施し、キャビンの静粛性を高めた。
安全面では2023年末までに、最新の自動化技術であるオートスロットル機能と緊急着陸装置を導入する。
SAF100%使用のエンジン試験にも成功
同日にはまた、ホンダとGEの共同出資エンジンメーカーであるGE Honda Aero Enginesから、HondaJetに搭載されているHF120ターボファンエンジンが、持続可能な航空燃料(SAF)を100%使用したエンジン試験に成功したことも発表された。通常のジェット燃料と同等の性能が見込めることが確認できたと説明している。
航空専門誌世界大手AINの同日付記事によると、HondaJet Elite IIの価格は695万ドル(約10億円)。今後数週間以内にFAA(米連邦航空局)から型式証明を取得し、年内に納品を開始する見通しという。
(石原達也)