米KKRのTOB、10月28日開始
日立物流は10月27日、社名を2023年4月1日付で「ロジスティード」に変更すると発表した。英文表記は「LOGISTEED」となる。臨時株主総会などを経て、正式に実施する。
米投資ファンドKKR(コールバーグ・クラビス・ロバーツ)が日立物流を買収するのに合わせ、目標としている「グローバル3PLリーディングカンパニー」の達成に向け、体制刷新をアピールする。
新たなロゴマーク(プレスリリースより引用)
ロジスティード(LOGISTEED)はLOGISTICSとExceed、Proceed、Succeed、Speedを融合した言葉。同社は「ロジスティクスを超えてビジネスを新しい領域に導いていく意思が込められている」と説明しており、経営ビジョン「グローバルサプライチェーンにおいて最も選ばれるソリューションプロバイダ」に向け、2017年からビジネスコンセプトとして活用している。
KKRによる買収を受け、日立物流は新たな社名に採用することで「創業以来の想いを礎とし、ビジネスと世界に新しい未来を実現していく当社の姿と想いを表している」と狙いを語っている。グループ会社の社名にもLOGISTEEDの名称を採用する。
日立物流はまた、KKRの関連会社が10月28日に日立物流へのTOB(株式公開買い付け)を始めることを予定している旨、KKRサイドから10月21日に連絡があったと開示した。日立物流は従来方針通りTOBに賛同し、株主にもTOBに応じるよう推奨する方針を表明した。
KKR側は9月、海外のうちロシアの規制当局への手続きに時間を要しているため、TOB開始が従来めどとしていた9月下旬から11月上旬にずれ込むとの見通しを日立物流に伝えていた。その後、KKR側は日立物流のロシア事業の規模自体が小さく、TOB完了の段階で承認を得られていなくても全体の事業運営に支障はないと判断、TOB開始を前倒しで実施することにした。
TOBは1株当たり8913円で、10月27日の日立物流株式終値(8690円)と比べると約2.6%上回る。買い付け期間は10月28日から11月29日まで。日立物流株式の60.09%の取得を目指しており、目標通り取得できた場合、取得総額は約4492億2800万円となる見通し。
KKRはTOBなどを通じて、関係会社経由で日立物流株式の90%を取得、子会社化する方針。残る10%は日立製作所が引き続き保有する予定。日立物流株式は東京証券取引所への上場が廃止となる見通し。
日立物流はKKRによる買収後、様々な事業会社に資本参加を呼び掛けるほか、事業成長と企業価値の向上を果たせた後は株式を再上場させることも念頭に置いている。
(藤原秀行)