貨物輸送スペース利用、「沖縄国際物流ハブ」事業拡大目指す
ヤマト運輸は沖縄県と連携し、沖縄から台湾への航空便による生鮮品などの輸出を開始した。
中華航空(チャイナエアライン)が10月25日、定期便として運航を再開した那覇~台北便(毎日1往復)の貨物スペース(ベリー)を活用。国内各地の食料品や生鮮品などの貨物を、地方路線と組み合わせて那覇空港経由でアジア各地に輸出していくことを想定している。
今後は農水産品に加え、東京から台湾向けに工業製品を輸出することを念頭に置いている。併せて、台湾から那覇への便を使った輸入の拡大にもつなげていきたい考え。全日本空輸(ANA)や日本航空(JAL)とも連携する。
ヤマトは2024年4月からJALと組み、新たに貨物専用機(フレーター)を運航する準備を進めており、那覇発着便とフレーターの接続も視野に入れている。
10月12日夜には定期便の運航再開を前に検証として、那覇空港から中華航空の臨時便を使い、鮮魚や工業製品などを台湾へ運んだ。同日午前には別途、鹿児島県で水揚げした魚介類も同じく輸出。地方路線から那覇を経てアジアへ輸出する可能性について検証した。
ヤマトなどは今年3月と8月にも、臨時便を使った同様の検証を実施した。
沖縄県などは、アジアに近い地理的特性を生かし、那覇空港を軸にして日本国内の農産品などを集約、アジア各地へ輸出する「沖縄国際物流ハブ」事業を推進。しかし、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受け、貨物便の運航を担う外国人パイロットの確保が難しくなったことなどから同空港発着の国際便が運休し、事業の方針は修正を迫られていた。
ヤマトや沖縄県などは、まずベリーを有効活用し、貨物輸送を着実に拡大、同事業を伸ばしていきたい考え。
(藤原秀行)