200億円投資、R&D施設も備える
スイスの重電大手ABBは12月5日、中国上海市康橋区に完全自動化された最先端のフレキシブルなロボット工場を正式に開設したと発表した。
6万7000㎡の生産・研究施設は、ABBが1億5000万ドル(約200億円)を投じて整備。ABBが持つデジタル・自動化技術を展開して次世代ロボットを製造し、中国におけるABBのロボティクス・自動化のリーダーシップを強化したい考え。
ABBロボティクス&ディスクリート・オートメーションプレジデントのサミ・アティヤ氏は「中国での30年にわたる成功に基づき、新しいメガファクトリーを開設することは、自動化の新時代において、お客様の持続的成長、労働力不足への対応、価値の高い雇用の創出を支援するための新たなマイルストーンです」とコメント。
「革新的で自動化されたフレキシブルな工場は、”in China, for China “という当社の戦略において重要な役割を果たし、当社のバリューチェーン全体をここで強化するものです。売り上げの90%以上をこの工場が支えており、この新しい施設は、中国のお客様がより現地で作られた製品、ソリューション、サービスを生み出すのに役立つでしょう」と強調している。
ABBは、世界のロボット市場が現在の800億ドル(約10兆8000億円)から2025年には1300億ドル(約17兆6000億円)に成長すると予測。世界最大のロボット市場の中国は21年に世界のロボット設置台数の51%を占め、稼働台数も100万台を突破している。
新施設は物理的な世界とデジタルの世界を融合させ、バーチャルプランニングと生産管理システムを活用し、データの収集と分析を通じてパフォーマンスを向上させ、生産性を最大化するデジタル製造エコシステムを構築。従来の固定された組み立てラインは存在せず、代わりに柔軟なモジュール式の生産セルを生かし、自律移動ロボットがサービスを提供している。
AIを搭載したロボットシステムはねじ打ちや組み立て、マテハンなどの作業を請け負い、各作業から人を解放、よりやりがいのある仕事に就けるようにする。
敷地面積8000㎡の研究開発センターでは、自律移動、デジタルツイン、マシンビジョン、ローコードプログラミングソフトウェアなど、AIやデジタル化、ソフトウェアにおける新しいイノベーションを生み出し、ロボットをよりインテリジェント、柔軟に、安全かつ使いやすくすることを目指している。
(藤原秀行)※写真はABB提供