経産省審議会が中間整理案、輸送設備など対象に
経済産業省は12月13日、総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)の水素政策小委員会とアンモニア等脱炭素燃料政策小委員会の合同会議を開催し、脱炭素化を後押しできる燃料として期待が高まっている水素やアンモニアの普及に向けた支援策に関する中間整理案を提示した。
水素やアンモニアの供給に要するコストは既存の化石燃料より高いため、サプライチェーンの大規模化や技術革新を通じたコスト低減が課題と指摘。大規模なサプライチェーン構築と効率的な供給インフラ整備の両面で支援策を講じるよう提案した。
このうち前者は、他の事業者に先駆け、リスクを取って投資して供給を担おうとする企業を「ファーストムーバー」に選定し、原則として15年間、状況に応じて20年間補助を続けることを盛り込んだ。ファーストムーバーは2030年ごろまでに供給を始める予定の企業を対象にしている。
具体的には、供給企業が水素やアンモニアの供給に要するコストを回収し利益も得られるだけの「基準価格」を国が設定し、石炭や液化天然ガス(LNG)の「参照価格」との差額を国が補助することを想定。一定期間ごとに価格の変動状況などを踏まえて、基準価格を見直すことを示している。水素はLNG、アンモニアは石炭をそれぞれ参照の対象とするよう提案している。
後者に関しては、貯蔵タンクやパイプライン、トラックや船舶の輸送設備などのインフラを支援の範囲に据え、今後10年間に国内で8カ所程度の供給拠点を設けるイメージを示した。このうち大規模拠点は大都市圏を中心に3カ所程度、中規模拠点は地方に分散して5カ所程度とそれぞれ見積もっている。
支援を進めるに当たっては、国土交通省が進めている「カーボンニュートラルポート」などの政策とも連携する必要性を強調。今後10年間に官民で合わせて7兆円以上の投資が必要と見積もっており、財源は新たな国債「GX(グリーントランスフォーメーション)経済移行債(仮称)」(環境債)で調達することを念頭に置いている。
(藤原秀行)