スマートウオッチへアラート発報、労災事故の未然防止目指す
映像解析や画像検知などの技術を手掛けるユビテックは1月30日、工場や工事現場などで働く作業者の安全見守りサービス「Work Mate(ワークメイト)」で、2月17日から新たな危険予知指標となる「注意力低下検知」の機能を追加すると発表した。
近年、労働災害の死傷者数は上昇傾向にあり、効率化による省人化、人手不足などを背景に労働安全管理の高度な対策が急務となっている。そうした状況を受け、「Work Mate」は不安全行動やヒヤリ・ハットを引き起こす「注意力低下状態」に着目。作業現場で通常時と比較して注意力が低下している状態を検知し、注意喚起することでトラブルを防げるようにする。
検知は個人の体調特性と作業特性を反映し、危険予知の精度を向上。作業者本人の行動変容や作業者への見守り強化・配置転換などによる現場改善を促し、労災事故の未然防止を目指す。
過度な疲労や睡眠不足などによって副交感神経をはじめとする身体休息機能が発動すると、心拍数の低下とともに覚醒度が下がり、注意力低下状態になることが知られている。同社はこの点に着目し、「Work Mate」でパルスと活動状態(加速度の変動)を組み合わせ、「注意力低下状態」を検知するアルゴリズムを開発した。
新機能はスマートウオッチから取得したパルスと活動状態のデータをリアルタイムで分析し、動作に対してパルスが平常時より低い状態が一定時間継続した場合に「注意力低下状態」と判定。本人と現場管理者へアラートを発報する。また、パルスと活動状態の分布は日々変動するため)、AI学習を行い、個人の体調特性と作業特性を反映させる。
実証実験では、アラート検出時に視覚刺激への反応遅延回数を測定するPVT(Psychomotor Vigilance Task)テストを行い、平常時よりも反応遅延が発生した回数を測定したほか、アラート検出時の自覚症状を確認。的中率はいずれも70%以上に達し、妥当性が確認されたため、標準機能として追加することにした。
(藤原秀行)※写真はいずれもユビテック提供