23年中の提供目指す、帳票自動印刷の機能もスタート
GROUNDソリューション 本部プロダクトセールス部の平野一将マネージャーと中島大造執行役員開発本部長は1月27日、千葉県市川市の物流施設「DPL市川」内に設けているR&D(研究開発)施設「playGROUND(プレイグラウンド)」で開催した物流向けの自律型協働ロボット「PEER(ピア)」新タイプの内覧会で、今後のPEERの機能拡充の方向性などを説明した。
両氏は既に、GROUNDが独自に開発、提供している物流施設統合管理・最適化システム「GWES」と連携、物流施設の庫内作業量の推移などを基に、PEER配備の最適台数を割り出すことなどを可能にしていると説明。
さらに、今後は複数のPEERが現場に投入されていても、特定のエリアに集まるなど渋滞させず、円滑にピッキング作業の支援ができるようにする「群制御」の機能を2023年中に実用化したいとの考えを示した。
可搬重量を100kgに高めた新タイプ「PEER100」
PEERは物流施設の床や壁に磁気テープやQRコードを貼らなくても自律移動できるのが特徴で、ピッキングすべき商品を収めた棚の前に移動、従業員にピッキングを促す。
平野氏はGWESに関し、ロボット運営の台数や人員配置などの「最適化」に強みがあると解説。PEERのロボット制御システムと連動させることで、PEERの稼働実績や作業進捗をリアルタイムでGWESに取り込み、ピッキング時の歩行距離最短化など物流施設全体の業務最適化へ方策を提案できるとメリットを強調した。
中島氏はシステム連動の意義について「今までは1個1個、データを集約しなければいけなかったが(リアルタイムで動きが)見えるようになってくるので管理者の負担軽減になる」とアピールした。
GWESによる作業進捗把握のイメージ画面
また、中島氏はPEERシリーズの機能強化として、PEERが指定された場所に到着するタイミングで、各種帳票を自動的に印刷する機能を搭載、運用を始めていることを明らかにした。従来は作業者がバーコードスキャンなどを使い印刷を指示していたが、PEERの動きに合わせて自動化することで、現場のオペレーション負荷軽減につながると見込んでいる。
PEERの運用に関しては、既にシステム上で、ピッキングゾーンの特定エリアに集まらないよう考慮しながら制御システムが作業指示を出しているが、PEERが移動する際に渋滞してしまうことがあるため、群制御を取り入れることで、より運用の精度を高めることを目指す。
平野氏は「不都合なく運用できるのは、実際に試しているのは100台以上。台数が増えても制御する上で全く問題ない」と自信を示した。
(藤原秀行)