建築基準法施行令の改正案を閣議決定、建ぺい率の規制緩和
政府は2月7日の閣議で、建築基準法施行令の一部改正案を決定した。
物流倉庫で雨や雪を避けて積み降ろしの作業を続けられるために最近設置が増えている大型のひさしに関し、規制を緩和してより導入しやすくする。物流業務の効率化と就労環境の改善を後押しするのが狙い。
2月10日に公布し、4月1日付で施行する。
改正案は、敷地面積に対してどの程度の広さ(建築面積)の建築物を造ることができるかを表す「建ぺい率」の算定方法を変更。現状は建築面積に算入しないひさしの部分を端から「1mまで」と設定しているのを「5mまで」に変更する。
規制緩和に合わせて、隣の建物の敷地との境界線までの間に十分な空き地を確保するなど、防災や衛生維持に配慮するよう定める。
(国交省資料より引用)
これまでは不算入の面積が限定的だったため、物流施設のデベロッパーらが大型のひさしを取り付けるのに慎重にならざるを得ないケースもあった。物流・不動産業界が国土交通省に規制の見直しを要請していた。
国交省は大型ひさしを取り付けることで、災害が起きた場合は庫内で荷崩れが発生していても、支援物資をいったんひさしの下に仮置きして仕分けできるため、避難所などへ迅速に供給することができるようになると期待している。
改正案はこのほか、2021年12月に大阪市で起きたビル放火殺人事件で、当該のビルは階段が1カ所しかなかったために被害が拡大したことを踏まえ、3階以上で延べ床面積が200㎡を超える事務所などの建築物について、特定行政庁が定期調査報告の対象として指定できるよう規制を強化することなどを盛り込んでいる。
(藤原秀行)