シベリア鉄道の貨物輸送「航空・海上に対抗し得る手段」と期待

シベリア鉄道の貨物輸送「航空・海上に対抗し得る手段」と期待

国交省が民間企業と進めたパイロット事業の結果を報告

国土交通省は3月6日、東京・霞が関で、2018年度に荷主企業や物流事業者と連携して実施した「シベリア鉄道による貨物輸送パイロット事業」のメディア向け結果報告会を開催した。

日ロ両国政府はシベリア鉄道の利用促進に取り組んでおり、同事業もその一環で行われた。国交省は実際に貨物を鉄道輸送した結果、いずれの案件も海上輸送よりリードタイムを短くすることができた上、振動などによる貨物への深刻な悪影響も見られなかったと説明。一層の利用拡大を後押しするため、PR活動などに注力する方針を示した。

パイロット事業は日新、東洋トランス、東海運、日立建機ロジテック、三菱商事ロジスティクス、日本通運の物流事業者6社が計7回実施した。扱った貨物は日用品や精米、飲料、雑貨、建設機械部品、電子ピアノなど多岐にわたっている。

日本各地の港湾からモスクワ駅までに要したトータルのリードタイムは15~31日間とばらつきはあるが、国交省は海上輸送を50~60日程度と仮定した上で、総じてリードタイムが2分の1から3分の1程度に短縮されたと分析した。

輸送品質の面では、振動が港湾荷役などの際に5G、鉄道輸送中は瞬間的に6Gとなったほか上下方向に2Gを継続して記録。しかし、国交省は「日本国内での高速道路走行時と同程度の振動」と解説、製品の品質に悪影響は生じなかったとの見方を明らかにした。

現地での食品販売可能日数延長などメリットに

総括として、リードタイム短縮により在庫圧縮を通じたコスト削減、現地での食品販売可能日数延長、海上ルートでは間に合わない貨物の代替輸送といったメリットが期待できると強調。必要な手続きを踏めば危険品の輸送も可能な点などを踏まえ、「今後は航空・輸送に対抗し得る主要輸送手段として期待される」と評価した。

シベリア鉄道を利用した貨物輸送に関しては、関係者からトータルの輸送時間の予測がつきにくいことや、極東の港湾でトランジット手続きが煩雑なことなどが課題として挙げられている。国交省からは前向きな姿勢が示されたが、本格的な活用実現には引き続き検証が不可欠だ。

(藤原秀行)

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