セイノーHDとエアロネクスト、長野・天龍村でドローンによる日用品や支援物資搬送の実証実験

セイノーHDとエアロネクスト、長野・天龍村でドローンによる日用品や支援物資搬送の実証実験

陸上配送を融合した「新スマート物流」の社会実装目指す

長野県天龍村とセイノーホールディングス(HD)、同社子会社で宅配事業を手掛けるココネット、エアロネクスト、同社子会社でドローン事業を展開しているNEXT DELIVERYは2月28日、天龍村中学校を起点として次世代高度技術を活用、新しい物流サービスの構築を目指した「中山間地域におけるドローン配送」の実証実験を2月27日に実施したと発表した。

セイノーHDとエアロネクストが開発推進する、ドローン配送と陸上輸送を融合して地域の物流基盤を維持する新スマート物流「SkyHub」の社会実装の検討に向けて実施。現場のオペレーションはNEXT DELIVERYが担当した。


使用したドローンを前に集合写真


物流専用ドローン「AirTruck」の着陸を見守る天龍村小学校の児童たち (同校グラウンド)


ドローン配送されたお菓子やカイロなどを永嶺天龍村長から受取る天龍村小学校の児童 (天龍村小学校グラウンド)

天龍村は長野県の南端部にあり、東西に11.4km、南北に9.9kmの不整形を成し、東に熊伏山を最高峰にして四囲が800m級の山に囲まれた面積108.9㎢の純山村。

村の中央を天竜川が南流し、その支流が造るV字渓谷の中に集落が点在。高度経済成長以降、林業の長期凋落が原因で深刻な過疎化が進み、買い物は飯田市へ出かける住民が多く、片道1時間程度の時間を要している。

また、少子高齢化が深刻な問題で、高齢化率が60%を超え、県内1位、かつ全国でも3位となっている。

令和3年度(2021年)末時点で食料品を扱う商店が2店舗しか残っておらず、かつ店主の高齢化で存続が危ぶまれている。窮状を打開するため、村は令和4年度(22年)に公設民営によるミニスーパー「満島屋」を開設した。買い物難民が増加していることに加え、点在する集落までの道路も狭隘かつ代替道がない地域が多く、災害時などは長期間孤立してしまう恐れが専門家などから指摘されている。

セイノーHDとエアロネクストは今回の実証実験で村内の地域課題解決、ドローン配送導入による観光産業・経済の振興、地域雇用・人材育成・地域防災へのインフラ整備を推進していきたい考え。

今回の実証は中山間地域での災害時を想定し、天龍村中学校に商品を集積する仮設ドローンデポを設置して、エアロネクストが開発した物流専用ドローン「AirTruck(エアトラック)」により避難所指定の天龍村小学校、天龍村保育所への救援物資と想定したカイロ、お菓子、食料品を届けた。


実証実験に使用した日本発物流専用ドローンAirTruck


今回ドローン配送された救援物資と想定したカイロやお菓子、食料品

今回の実証実験はココネットがプライムとなり、環境普及機構から「令和4年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金交付対象事業(社会変革と物流脱炭素化を同時実現する先進技術導入促進事業)」として採択されている。

(藤原秀行)※いずれもセイノーHDとエアロネクスト提供

テクノロジー/製品カテゴリの最新記事