政府が海上運送法改正案を閣議決定、国際貨物輸送安定化へ日本船主の船舶確保支援

政府が海上運送法改正案を閣議決定、国際貨物輸送安定化へ日本船主の船舶確保支援

基本方針作成など柱、小型観光船事故受け安全規制強化も

政府は3月3日の閣議で、海上運送法と船員法、船舶職員・小型船舶操縦者法の改正案を決定した。

国際貨物海上輸送の安定化を図るため、日本の船主が保有する外航海運向け船舶を確保できるよう、国土交通大臣が基本方針を策定。その上で、対外船舶貸渡業者や対外船舶運航事業者らが外航海運向け船舶の確保に関する目標などを盛り込んだ計画を作成し、国の基本方針に適合すれば国交相が認定する制度を設ける。

国交省は日本の商船隊で日本船主の保有船舶が占める割合を2021年の74.6%から25年には75.5%以上まで高めることを目標に掲げている。安定確保へ官民連携して取り組める体制を構築する。認定を受けた事業者には国が財政面などで支援することを想定している。

改正案は併せて、昨年4月に起きた北海道の知床遊覧船事故を受け、旅客船の安全対策を拡充する。船員の資質向上を図るとともに、罰則を強化することなども盛り込んでいる。

遊覧船のように小型船舶だけ使っている旅客不定期航路事業の許可は更新制を導入するほか、安全統括管理者・運航管理者に関する資格者証制度と試験制度を新設。現状は事業参入が事前届け出となっている海上タクシーなどの人の運送を担う船舶運航事業は登録制を設ける。

また、小型旅客船の船長となるために必要な特定操縦免許は講習課程の内容を拡充し、乗船履歴に応じて船舶の航行区域を限定。小型旅客船の船舶所有者には船長ら乗組員に対して海域の特性などに関する教育訓練を義務付ける。

さらに、法令違反があった事業者には、船舶の使用停止を命令できるようにするほか、輸送の安全確保命令に従わない事業者には懲役刑や法人重科を科し、事業許可の欠格期間を現行の2年から5年に延長する。

(藤原秀行)

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