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「2040年、道路の景色が変わる」

「2040年、道路の景色が変わる」

国交省審議会、政策の新ビジョン原案提示

国土交通省は2月21日、東京・霞が関の同省内で開いた社会資本整備審議会道路分科会の基本政策部会(部会長・石田東生筑波大名誉教授・特命教授)に、道路政策に関する中長期的な方向性を示すビジョンの原案を提示した。

「2040年、道路の歴史が変わる ~人々の幸せにつながる道路へ~」との題名を掲げ、おおむね20年後の日本社会を見据えながら執るべき道路政策を提案。自動運転の実現などで生じると見込まれる「移動」に関する5つの変化を踏まえ「道路の景色は将来、劇的に変化する可能性があり、それに対応した新たなビジネスやマーケット、技術革新を数多く生み出す可能性を秘めている」と指摘した。

将来目指すべき社会像として、
①日本各地どこにいても、誰もが自由に移動し、交流や社会参加できる社会〈包摂・参加〉
②世界と人やモノが行き交うことで経済の活力を生み出す社会〈活力・成長〉
③国土の災害脆弱性とインフラ老朽化を克服した安全に安心して暮らせる社会〈安全・安心・環境〉
――を想定。

具体的な方向性として、「持続可能な物流システム」「災害や気候変動から人と暮らしを守る道路」「道路ネットワークの長寿命化」など10項目を設定。ロボット配送などを可能とする道路の空間と利用ルールを確立してラストマイル輸送の自動化・省力化を図ることや、自動運転トラックや隊列走行の専用レーンとトラックの連結・解除拠点など関連インフラを高速道路に整備することなどを打ち出している。

自動運転の技術を道路整備の面から強力に後押ししていく姿勢をにじませる内容となっている。同審議会で近くビジョンを正式決定し、国交省が政策の具体化を図る。

可変式道路構造と高度な需要予測で繁忙期の渋滞解消

ビジョンの原案は、将来的なシナリオとして、
①通勤や買い物等のルーティン移動が激減
②旅行、散歩、ランニング等の余暇の移動が増加
③人・モノの移動が自動化・無人化
④店舗(サービス)そのものが移動
⑤災害時も人・モノが途絶することなく移動
――を明記。こうした動きが実際に起これば、普段見慣れている道路の景色について、
・通勤・帰宅ラッシュの消滅
・公園化した道路が出現
・無人自動運転車や小型モビリティが走りまわり、乗換や積卸の大小拠点(ハブ)が出現
・道路の柔軟な利活用により、まちが変わる
・災害時に被災する道路から救援する道路へ
――と、一変する可能性があるとの見解を示した。

目指すべき社会像ごとに、実際の政策の方向性を列挙。
①に関しては、
・国土や地域の骨格となる道路に自動運転車専用レーン等を設置
・キャッシュレスで料金所を必要としない高速道路料金の支払いシステムが区間や車線別、時間帯別の変動料金による混雑を解消し、稼働率を最大化
・可変式の道路構造(リバーシブルレーン等)と、高度な需要予測に基づく交通マネジメント(経路変更・時間帯の分散)が繁忙期の渋滞を解消
・道の駅が、高齢者の生活の足を確保する自動運転サービスの拠点となるとともに、子育て応援施設が併設されるなど、あらゆる世代の活躍する舞台となる地域センターとして機能
――などを示した。

港湾との連絡強化し国際物流網形成

②については、
・サイバー空間に再現された道路や周辺インフラのデジタルツインと、交通、エネルギー、物流、開発等のビッグデータが、道路交通システムのオペレーションを実現
・船舶の大型化等による海上輸送網の変化や国際海上コンテナの大型化等に対応し、幹線道路ネットワークの機能や港湾等の連絡が強化され、国際物流ネットワークを形成
・小口荷物単位で最適化された物流システムを支援するプラットフォームが形成され、幹線道路や物流拠点等から得られる物流関連ビッグデータがオープン化
・自動運転トラックや隊列走行の専用レーンとそれに直結するインフラ(連結・解除拠点、充電スポット・水素ステーション等)が幹線物流を担う高速道路に整備され、隊列走行や自動運転トラックが全国展開
・ロボット配送等を可能とする道路空間と道路利用ルールにより、ラストマイル輸送を自動化・省力化
――などを並べた。

③としては、
・災害発生時に速やかな機能回復が可能となる道路構造が導入され、トンネル、橋梁、盛土等の耐災害性能を統一的に確保することで、太平洋・中央・日本海の縦貫道、これらを連絡する横断道、都市圏の環状道等がネットワークとして機能
・無電柱化された道路が停電なく電力供給を確保
・高速道路が災害モードに切り替わり、浸水想定区域の高架橋や盛土部が緊急避難スペースとして活用され、緊急車両が緊急出入口から被災地域に最短アクセス
・非常用の発電機、井戸、食料備蓄庫、ヘリポートなどを装備した道の駅、SA/PA等が、避難場所、救援拠点、物資中継基地等として機能
――といった項目を記している。

(藤原秀行)

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