日本郵船と基本合意、10月にも全株取得
ANAホールディングス(HD)と日本郵船は3月7日、ANAHDが日本郵船傘下で航空貨物輸送を展開している日本貨物航空(NCA)を買収することで基本合意したと発表した。
10月にもANAHDがNCAの全株式を取得する。具体的な取得方法など詳細は今後詰める。
ANAHDは現行の中期経営計画で、中核のエアライン事業の利益最大化を目標に掲げており、その達成手段の1つとして貨物事業の拡大を推進する方向性を打ち出している。NCAをグループに収め、貨物事業をさらに伸ばしていきたい考えだ。
NCAは2010年に日本郵船の完全子会社となったが、運航・整備体制拡充のための機材更新や人員育成に多大なコストを要することなどが課題となっていた。新型コロナウイルス感染拡大に伴う海上輸送の混乱などで航空輸送は需要が急増、航空運賃も高騰したが、今後は沈静化していくことが見込まれている。
ANAHDにNCAを売却し、海上コンテナ輸送の事業基盤強化に経営資源を割り当てたい考え。
ANAHDグループの全日本空輸(ANA)とNCAは2018年に業務提携し、貨物便の共同運航(コードシェア)を展開するなど、協力関係がある。買収でさらに関係を強化させていく方針。
(藤原秀行)