接触リスクを可視化して事故削減に活用
日本郵船は3月12日、グループ企業で先進輸送技術の研究開発を手掛けるMTIならびに海事コンサルティングの日本海洋科学と共同で着岸操船支援システムを開発したと発表した。
着岸時の距離や位置、気象データなどさまざま情報をデジタル解析するソフトウエアで、リスクを評価・可視化することで接触事故削減と操船者の負担軽減に活用していく。既に実船によるテストを実施済みで特許出願中。今後は自社運航船への導入を順次進めていくほか外部への販売も予定している。
岸壁までの距離、船舶の速力、船体性能に関するパラメーター、タグボートの配置や気象データなどの情報を解析。操船者はタブレット端末などで岸壁との相対位置関係、接近速力を確認することで事故リスクを把握することができるようになる。
着岸作業では操船者が関連する情報や経験を基にタグボートへ指示を出しながら行うため精神的負担が高い上、誤った判断がオーバーランや異常接近、港湾施設との接触・損壊などにつながることが懸念されている。日本郵船らはこうした点を踏まえ着岸接触事故ゼロ、操船者負担軽減を目指してシステム開発に取り組んできた。今回採用した技術は同社が進める有人自律運航船の自動着桟システムへの応用にも期待を寄せている。
(鳥羽俊一)
シミュレーション時の様子(日本郵船ニュースリリースより)