【動画】OKIグループ、工場や物流拠点のロボットハンド性能向上可能な小型モーター開発

【動画】OKIグループ、工場や物流拠点のロボットハンド性能向上可能な小型モーター開発

消費電量半減、ドローンへの活用も想定

沖電気工業(OKI)は3月22日、100%子会社で精密小型モーターを手掛けるOKIマイクロ技研(OME、福島県二本松市)が、工場や物流拠点向けロボットハンドなどに活用できる新たな高性能モーター「Thumbelina(サムベリーナ)」を開発したと発表した。

小型ながら高いトルク(回転力)を実現し、電力の消費を抑えているのが特徴。OMEは産業用のロボットハンドに組み込むことで、多くの関節をより高速で動かせるようになるとともに、ロボットハンド自体を小型化・軽量化できると見込む。

OMEは2023年度にサムベリーナの量産を開始、25年度にロボット関連事業で年間5億円の売り上げを目指す。ロボットハンドのほか、医療・介護現場向けロボットやドローンへの応用も視野に入れている。

東京都内のOKI本社で同日、メディア向けにサムベリーナの発表会を開催したOMEの富澤将一社長は「小さくて軽く、消費電力が少ないモーターが欲しいという需要に挑戦する」と意義を強調した。新規で2億円の設備投資を計画しているという。


サムベリーナ(プレスリリースより引用)


乾電池と比べたサムベリーナ(中央)

サムベリーナはモーター性能を最大限発揮するため、中心部のコアに狭いスペースでも巻き線材をより多く巻き付けられるようにしてトルクを高めるなどの新技術を投入。その結果、モーターの体積と重量を一般的な小型モーターから49%減らした一方、トルクは86%アップ。消費電力は46%抑えられたという。

これまでロボットハンドは間接部分などに複数のモーターを取り付ける必要があるが、高いトルクを実現するにはモーターが大型化してしまい、狭いスペースにロボットを置けなかったりするなどの課題があった。OMEはサムベリーナを活用することで課題を解決できると見込む。


サムベリーナで20kgの重りを動かすデモ


サムベリーナでペットボトルを吊り上げるデモ

今後はモーターにセンサーや制御回路、減速機といった関連機器をセットし、ロボットハンドなどにすぐ組み込める「モーターユニット」の開発も目指す。1個当たり数万円程度の価格を想定している。

併せて、サムベリーナを活用した独自の小型で多指・多関節関節のロボットハンドを開発した。

発表会でOMEマーケティング開発部の山口仁志開発課長は「今までは小型モーターの開発が盛んではなかったため、海外のモーターを使うか、大きいモーターに(機器を)合わせるしかなかった。今後は新規の製品開発に使っていきたいと要望する企業が多い。まずは国内でシェアを広げていく」と意気込みを語った。


説明会で撮影に応じる(左から)OMEの富澤社長、山口開発課長、門間俊也執行役員

(安藤照乃、川本真希、藤原秀行)

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