東海岸のサバンナ港、将来の需要増見込む
住友商事は3月31日、A.P.モラー・マースクなど7社と連携し、米国東海岸の主要港サバンナ港で、船舶にグリーンアンモニア(再生可能エネルギー由来の電力を使い、水を電気分解すて生み出す)燃料を供給する事業の開始に向け、共同で検討すると発表した。
海運分野でも温室効果ガス排出削減が急務になっており、国際海事機関(IMO)は国際海運から出る温室効果ガスを2050年までに半減する目標を設定。さらに踏み込んだ目標の策定も検討している。
燃焼時にCO2を排出しないアンモニアは海運業界の温室効果ガス排出削減に大きく貢献できると期待が高まっており、特にグリーンアンモニアは製造時も含めて出ないとみなされている。住友商事は事業化で海運領域の脱炭素への貢献を図る。
近年、米サバンナ港は、コンテナの取扱数量が急激に増加。2024年までに6隻の大型コンテナ船が同時に荷役を行える体制を構築するとともに、25年までに60%の拡張工事を計画している。さらには700万TEU(20フィート標準コンテナ換算)の新設ターミナルの開業を検討するなど、早急かつ効率的にCO2の排出量を削減できるアンモニア焚き超大型コンテナ船が非常に多く寄港することが見込まれている。
サバンナ港に隣接するブランズウィック港やジャクソンビル港は、米国屈指の自動車船ターミナルを擁しており、多くの大型自動車船が寄港するため、自動車船へのアンモニア燃料供給のニーズも想定されている。
共同検討では、競争力のあるグリーンアンモニア供給網の開発、アンモニアバンカリング船の設計開発、海上輸送や貯蔵などの関連するインフラ構築など、STS(錨地に停泊または岸壁・桟橋に係留中の船舶に対しバンカリング船が接舷して燃料を供給)方式での船舶向けアンモニア燃料供給に向けたサプライチェーンの構築を推し進める。
併せて、米国の関係当局や専門家の協力を得て、アンモニアバンカリングのオペレーション・ガイドラインや法規制の整備に向けて取り組む。
米国サバンナ港図
【各社役割】
パートナー | 役割 |
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パートナー | 役割 |
American Bureau of Shipping | 米国でのアンモニアバンカリングのオペレーション・ガイドラインなどの策定を目的としたリスクアセスメント、および関係当局との折衝など |
A.P. Moller – Maersk A/S | コンテナ船のアンモニア燃料の需要計画策定、および運航会社の観点から、アンモニアバンカリングのオペレーションの検討など |
Fleet Management Limited | 船員配乗を行う船舶管理会社の観点から、アンモニアバンカリングのオペレーションの検討など |
Georgia Ports Authority | サバンナ港におけるLNG(液化天然ガス)バンカリング拠点整備の支援の経験と知識を活用して、米国でのアンモニアバンカリングのオペレーション・ガイドラインの策定に向けた関係当局との折衝支援など |
Maersk Mc-Kinney Moller Center for Zero Carbon Shipping | アンモニア燃料のライフサイクルアセスメント、および米国でのアンモニアバンカリングのオペレーション・ガイドラインなどの策定を目的としたリスクアセスメントなど |
Savage | 米国唯一の大型アンモニア内航船の建造・運航の経験と知識を活用して、サバンナ港へのアンモニア内航輸送の検討など |
住友商事株式会社 | グリーン/ブルーアンモニアの調達・輸送・貯蔵・バンカリングを含む、競争力のある包括的サプライチェーンの構築に向けた検討など |
TOTE Services | 米国初のLNGバンカリング船の建造・保有・運航の経験と知識を活用して、アンモニアバンカリング船の開発、および米国でのアンモニアバンカリングのオペレーション・ガイドラインの策定など |
(藤原秀行)