「人と機械のベストマッチ」実現し物流現場の最適化後押し
東芝子会社で社会インフラ整備などを手掛ける東芝インフラシステムズは5月8日、人の作業を管理する倉庫管理システム(WMS、Warehouse Management System)と機械の制御を管理する倉庫制御システム(WCS、Warehouse Control System)を連携させるクラウドベースの「倉庫運用管理システム」(WES、Warehouse Execution System)の新製品の営業を開始したと発表した。
従来の管理系システムより出荷オーダーの最適化と需要予測・進捗未来予測の機能を強化し、倉庫内で人と機械がさらに効率的に連携できる環境を整備できるようにしたのが特徴。
人を管理するWMSと機械を制御するWCSのシステムは通常、統合されていないため、人と機械の作業を適切に配分し、効率的な運用を行うには、経験と勘に頼らざるを得ないのが課題だった。
WESは物流現場の人と機械の稼働状況データを収集して見える化・蓄積・分析することで、作業の完了時間を予測して適切なリソース配分を指南するなど、現場が抱える様々な課題を解決し、倉庫全体の運用を最適に計画・実行できるよう後押しする。
今回、WMSから受信した出荷指示の処理順を並び替えることにより、搬送された棚1台からピッキングできる件数を向上させる出荷オーダー最適化機能と、過去の実績データを踏まえて当日に受信する明細数を予測して当日の作業終了時間と次の1カ月間の作業量を予測する需要予測・進捗未来予測機能を強化した。
同社はこれまで物流顧客向けに画像認識技術やロボティクス技術を応用したデパレタイズ(荷降ろし)ロボットを製品化し、業務提携した中国ムシニー社の棚搬送ロボットシステムを提供するなど、物流顧客向けに自動化・省力化ソリューションの販売を進めてきた。
今後はWESの強化に向け、さらなる見える化、分析・予測、最適化の適用範囲拡大や高付加価値サービスの提供を図るため、東芝研究開発センター、生産技術センター、東芝デジタルソリューションズと協働を続け、物流ソリューション事業の強化を目指す。
WESの特徴
1.倉庫内作業の「見える化」と「分析・シミュレーション」による進捗把握
人・システムのタスクや負荷状況データを収集、リアルタイムに集計し、見える化。作業完了予定時間をシミュレーションすることで、作業遅れのリスクに早期に対処することが可能。
2.作業に対する要員割り当てなどを最適化し、リソースを最大活用
分析・シミュレーションに基づき、倉庫内リソースの最大活用、スループットを全体最適化。進捗予測で遅れが見込まれる場合、エリア間の要員調整などを最適にナビゲーションする。
3.データ変換ツールを利用したスムーズなシステム連携
様々なWMS、その他のシステムとのデータ連携・編集を容易にする物流分野のデータ変換に特化したツールにより、既存システムとスムーズに連携できる。
4.出荷オーダー最適化
WMSから受信した出荷指示の処理順を並び替えることにより、ヒット率(搬送された棚1台からピッキングできる件数)を向上。総ピッキング時間を短縮して、時間当たりのピッキング処理能力を高められる。
5.需要・進捗未来予測
過去の実績データを基に、当日に受信する明細数を予測して当日の作業終了時間と次の1カ月間の作業量(明細数)を予測。終了時間予測の精度を向上して出荷締め切り時間の順守を図る。
WES製品概要
①出荷オーダー最適化
過去の実績データを元に当日に受信する明細数を予測して当日の作業終了時間を予測する機能、および次の1カ月間の作業量(明細数)を予測する。
出荷オーダー最適化
②需要予測・進捗未来予測
当日途中経過と過去実績データから当日総件数と業務終了時刻を予測して、終了時刻予測の精度を向上させる。予測に基づいた迅速な要員追加対応等により、出荷時間を遅延することがないように業務進捗管理を行える。
出庫の実績と予測をリアルタイムで表示
需要・進捗未来予測
予測総行数:当日1日分の総行数を予測し表示。受信済行数で補正される
受信済み行数:受信済み明細数の積算値を表示
計画進捗:予測総行数に対する計画値。曜日毎に過去の進捗実績と予測総行数から算出
処理行数:出庫実績数の積算値
処理行数(予定):現時点の生産性が継続した場合の予測線を表示
(藤原秀行)※いずれもプレスリリースより引用