1口10万円から受け付け、5年で累計3000億円以上発売目指す
三井物産傘下でデジタル証券(セキュリティー・トークン、ST)事業を手掛ける三井物産デジタル・アセットマネジメント(MDM)は5月22日、新たな個人向け資産運用サービス「ALTERNA(オルタナ)」の提供を開始すると発表した。
ALTERNAは都心の大型不動産や物流施設、船舶、発電所といった、賃料などの安定的収入が期待できる実物資産を裏付けとしたSTを、スマートフォンで簡単に、利回りを目的に購入、投資できるのが特徴。サービス開始の前提となる金融庁の承認を得た。
ブロックチェーン技術を生かして24時間取引や即時決済が可能なSTを活用し、これまで機関投資家に投資機会が限られていた様々な安定資産に、10万円からの小口単位で個別投資を実現、個人投資家に新たな投資の選択肢を提供し、「貯蓄から投資へ」を後押しするのが狙い。
STは運用実績の報告作成など関連業務を自動化・省力化できるため、関連コストを低減し、運用報酬額を抑えて投資収益をより多く得られるようになると見込まれている。
第1号の投資案件は東京・日本橋エリアの1棟レジデンス「ステージグランデ日本橋人形町」で、6月2日に投資申し込みを開始する。MDMは今後5年以内に累計販売金額3000億円以上を目指す。
ALTERNAは預金・上場株式・投資信託といった伝統的な資産の代替となる「オルナタティブ資産」を提供したい、加えてお金の預け先として新しい選択肢を提示したいとの想いを込めて名付けたという。
オルタナティブ資産は上場株式、債券と異なるリスク・リターン特性を有しており、安定したキャッシュフローを有する実物資産への投資をポートフォリオに組み入れることにより、運用効率の向上に寄与する効果が期待できると投資関係者らが説明している。ALTERNAでもそうした考え方を反映させている。
本証券の組成・販売は、三井物産子会社の三井物産デジタル・アセットマネジメントが担う。
MDMは2020年、三井物産とブロックチェーン技術開発を担うLayerX(レイヤーX)などが共同で立ち上げた。
MDMが運用を行う不動産の総額は4月末時点で2300億円に上る。そのうち今後、デジタル証券として提供するために有している商品化予定案件は既に2200億円以上に達しており、順次公表する予定。発電所やデータセンター、通信ケーブルなども投資対象と想定している。
(藤原秀行)※写真は三井不動産デジタル・アセットマネジメント提供