厚労・国交省、ドローンの医薬品配送拡大を後押し

厚労・国交省、ドローンの医薬品配送拡大を後押し

ガイドライン改定し劇薬を取り扱い対象に追加、事故時対応などを要求

厚生労働省と国土交通省は、ドローンによる医薬品配送の拡大を後押しする。今年3月、厚労省からドローンで配送可能な医薬品の対象を拡大すると各都道府県など主要自治体の衛生担当部局に通達した。

政府は昨年12月、改正航空法の施行に伴い、ドローンが有人地帯上空で補助者を置かず目視外飛行する「レベル4」を解禁。今後、物流での活用がさらに進むことが見込まれるため、両省は医薬品も広く取り扱えるようにし、地方や離島で迅速かつ安定して医薬品を住民らに届けられる体制を早期に整えたい考え。

内閣官房と厚労省、国交省が2021年に公表した「ドローンによる医薬品配送に関するガイドライン」(指針)の内容を改定した。従来は実証実験を行う事業者らを想定した内容で、事業計画の策定や運航主体の特定と責任主体の明確化、医薬品の品質保持のための方策、事故発生時の対応などを列挙していた。

また、取り扱う医薬品についても、ドラッグストアで処方箋なしに購入可能な一般の医薬品、風邪など深刻でない病気の処方薬を想定しており、劇薬などについては取り扱いの対象外だった。

改正後のガイドラインは、実際にドローン配送を事業として展開しようとする企業を想定し、内容を拡充。安全性を確保するため、温度管理を適切に実施したり、振動・衝撃に耐えられるようにしたりすることを求めている。

医薬品については、劇薬について安全性の確保を条件にドローン配送を認めるほか、麻薬や向精神薬、放射性医薬品、毒薬など厳格な管理が必要なものについても「災害時において、緊急に配送する必要があると認められる場合」に限って容認している。

また、ドローンを使った医薬品の配送は「配送する医薬品の品質や安全性の確保、配送先の事業者または患者への速やかで確実な授与および患者のプライバシー確保等の観点から配送手段を比較し、ドローンを用いた医薬品の配送が最も適切な手段と考えられる場合に限り」実施するよう要望している。

併せて、大雨や強風などでドローンが飛行できない場合に備え、事業を展開する際はドローンだけに頼るのではなく、ドローン以外の配送方法も確保しておくよう要請している。

患者が薬剤を直接受け取る場合には、専用の鍵付きロッカーを用いるなど、確実に本人が受け取ることを担保できる方法を採用するようアドバイスしている。ドローンが万が一墜落しても医薬品を回収可能にする仕組みの必要性についても言及した。

(藤原秀行)

テクノロジー/製品カテゴリの最新記事