空港施設、6月の役員人事で国交省出身取締役がゼロに

空港施設、6月の役員人事で国交省出身取締役がゼロに

「株主全体の共同利益確保・向上に資する体制」と説明

空港施設は5月29日、新たな経営体制を公表した。国土交通省中部運輸局長や気象庁次長を歴任した坪井史憲取締役の退任が決まり、取締役から国交省出身者がいなくなることが確定した。

6月29日に開催予定の定時株主総会と取締役会を経て正式に発足する。坪井氏は常務執行役員の職務は継続する。また、全日本空輸(ANA)出資の稲田健也会長は任期満了で退任し、日本航空(JAL)出身の乘田俊明社長は続投する。

空港施設をめぐっては、元国交省事務次官の本田勝氏(東京メトロ会長、6月で退任予定)が昨年12月、国交省元東京航空局長の山口勝弘副社長(当時、4月に辞任)を次の社長にするよう人事に介入していたことが発覚。

空港施設が設置した独立検証委員会の調査で、山口氏が取締役から副社長に昇格した2021年の幹部人事でも、取締役候補者の選任過程で山口氏が国交省の存在をちらつかせながら副社長に昇格させるよう自薦するなど不透明な点が明らかになっていた。

同社は独立検証委から取締役候補者選定で透明性の高いプロセスの導入などを提言されたのを受け、「特定のステークホルダーの意向ではなく株主の皆様全体の共同利益の確保および向上に資する体制となるよう適任者を選任しており、独立検証委員会の提言内容に沿ったものとなっていると判断している」と説明している。

(藤原秀行)

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