下代社長、空港向けシステムは「順調」と説明
ダイフクの下代博社長は5月12日、オンラインで開催したメディア向けの2023年3月期連結決算説明会で、主力の半導体・液晶パネル工場向けのクリーンルーム専用保管・搬送システムに関し、半導体市況悪化の影響を受けるとの見通しを示した。
下代社長は「市況が悪化するということでメーカーさんから納期を半年、1年ずらしてほしいとの要望があり、売り上げの計上が来期(24年3月期)になるものが結構増えている」と説明。「最終的に今期、どうなっていくのかは微妙なところだが、今はシビアに見ている」と明かした。
一方、手荷物搬送システムなど空港向けシステムに関しては「エアポートは新型コロナウイルス禍から回復し、国際線の需要も戻ってきている。北米を中心に大変順調に推移している。もともとそんなには業績が落ち込んでおらず、3~4年にまたがる工事も多く、もっと世界は(事業を)長期的に構えているということもあり、そういった意味では順調に推移しており、まだまだ期待できる」との見方を示した。
コロナ禍に伴うグローバルのサプライチェーン混乱については「まだ手に入りにくい部品はあるが、昨年の一番苦しかった時期と比べると、今はだいぶ楽になってきている」と指摘。
同時に、「部品は長納期化したものが若干短くなってきているが、完全には戻ってきていない。中にはやはり、半導体というよりは電子部品関係の一部で手に入りにくいものがある。全ての業界で部品在庫はコロナ前の2倍持っているというところが圧倒的に多い」と指摘した。
今期の目標として「いずれの事業部も在庫を減らしていくことにこれから注力したい。運賃は高止まりした状態が続いてきており、これから下がっていくとは考えにくいので、価格転嫁をどのように進めていくかに注力しなければならない」と説明。
「みんな在庫を減らすことにはなかなか慎重になっている。(在庫が)ないことを経験したのですぐには応じにくい、というところだ」と述べ、同社としても在庫の圧縮には時間が掛かるとの見方を示した。
24年3月期に関しては「経営方針に事業の利益体質化と経営戦略構築を掲げている。海外の営業利益率アップを主眼に置いて、全ての構造改革を進めるよう指示している。改革による利益率向上を目指していきたい」と説明した。
(藤原秀行)