プロロジス・山田会長、「2024年問題」対応支援へ入居企業の共同配送マッチングなど注力

プロロジス・山田会長、「2024年問題」対応支援へ入居企業の共同配送マッチングなど注力

高速道路沿いに自動運転トラック対応のターミナル開発も構想

プロロジスの山田御酒会長兼CEO(最高経営責任者)は6月8日、東京都江東区辰巳で旧店舗からの改修を進めている都市型賃貸物流施設「プロロジスアーバン東京辰巳Ⅰ」を公開したのに併せて、現地でメディアの取材に応じた。

山田氏は、物流施設の大量供給が続いている影響で、今後は荷主企業や物流事業者による個々の物流施設の選別がより厳しくなり、新規に開発した案件の空きスペースがなかなか埋まらない事態も起きてくると展望。

プロロジスとしても、従来のような郊外に大規模な物流施設を開発するのに加え、都市部に構える「プロロジスアーバン」も選択肢として提示することで、多様な需要を掘り起こしていきたいとの姿勢をあらためて強調した。

また、トラックドライバーの長時間労働規制強化に伴い物流現場の混乱が懸念されている「2024年問題」への対応として、入居企業の間で共同配送の実現を支援していくことなどを挙げた。将来は隊列走行の自動運転トラックが高速道路からすぐに出入りできるよう、高速道路沿いに物流施設付きターミナルを開発していくことにも意欲を見せた。


「プロロジスアーバン東京辰巳Ⅰ」の外観


「プロロジスアーバン東京辰巳Ⅰ」のエントランスで撮影に応じる山田氏

「1年間の新規供給分くらいが空室になっている」

山田氏は物流施設市場の動向に関し「想定していたよりもすごい勢いで建設費が上がっている。従来は土地代の安い郊外や地方へ行く戦略を(デベロッパーが)みんな取っていた。今や土地代が安くても建築コストが高過ぎて、土地代の安さでコスト(上昇分)をカバーするのが難しくなってきた」と指摘。

「23年7月以降、来年にかけては建設コストが落ち着かない限り、着工を見合わせるケースが結構出てくるのではないか」との見方を示した。また、新規参入したデベロッパーが物流施設開発から撤退する可能性についても言及した。

首都圏の大規模マルチテナント型物流施設の空室率が7~8%程度まで上昇していることについては「1年間の新規供給分くらいが空室になっている。建設コストの問題も併せて、マーケットが厳しくなる。ユーザー側が選ぶ時代になってきて、経済条件や立地が劣る案件はなかなか埋まらない状況が起きていくのではないか」と展望。立地が良く、付加価値の高い物流施設を開発するという基本戦略の重要性をアピールした。


「プロロジスアーバン東京辰巳Ⅰ」の1階倉庫スペース


3階の冷凍冷蔵倉庫部分

Jリートとは別に、第一生命保険などと組んで物流施設を投資対象とする私募リートを組成した狙いについて「土地を買って建物を建てて安定稼働になったらNPR(日本プロロジスリート投資法人)に買ってもらうという従来のパターンだけでは厳しくなってきた。Jリートは償却後利回りを重視する傾向があるので、土地が定期借地の場合は償却の比率が大きくなり好まれない。そういう物件には取り組みにくかった」と解説。

私募リートを立ち上げることで、マーケットサイズが小さい地方の物件や、都市部などの小型の物件、土地を定期借地で契約している物件といったJリートには組み込みにくい案件の開発にも乗り出せるようになると語った。

プロロジスアーバンの展開について問われたのに対し、山田会長は「大阪も検討しているが、どこまでニーズがあるか分からない。そこまで大きな需要はないかもしれない。首都圏はラストワンマイル用拠点がもう一つ欲しいというニーズがある。オフィスビルで受け入れられない使い方をしたいというニーズもある」と説明。まず首都圏を軸に需要を見極めていく姿勢を見せた。


スロープ

2024年問題への対応としては「共同配送が一つの重要なキーだと思っている。荷主に声を掛けて、マッチングをするコミュニティを当社が主導して作っている。今、少しずつマッチングができるようになってきている。共同配送で積載効率が上がれば、2024年問題はかなり解消できると思っている」と明かした。

加えて、「隊列走行の自動運転トラックがストレスなく入ってきて、すっと荷物を下ろして出ていくようなターミナルをわれわれは(高速道路沿いに)作ることができる。物流施設も建設する。1人の運転手さんが(長距離輸送で)目的地まで行くのではなく、隊列走行でターミナルまで持っていくという形にすれば効率化ができるのではないか。そういったいろいろなご提案は(国土交通省などに)している」と持論を展開した。

併せて、長距離輸送の中間地点となるエリアに物流施設を開発することにも乗り出していると紹介。2022年に岩手県で初のマルチテナント型物流施設に着工したのに続き、西日本をカバーするため岡山でも開発に乗り出したことにあらためて触れ、「地方の中核都市に拠点を作っていくことは考えている」と語った。

同席したプロロジスの栗原祥之開発部長は「アーバンシリーズを広めていけると確信しつつある。われわれが一定のグレードの施設を提供することで、『供給が需要を作る』ということが期待できるのではないか」とアピール。「これまでは既存物件のリニューアルも多かったが、やはり開発型のアーバン施設を増やしていきたい」と述べた。

(写真・川本真希、本文・藤原秀行)

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