国交省、旅客船のひび確認も検査受けず運航続けたJR九州高速船に行政処分

国交省、旅客船のひび確認も検査受けず運航続けたJR九州高速船に行政処分

事故報告体制も未機能と判断、改善策の実施・報告を命令

国土交通省は6月23日、船舶安全法などの関係法令に違反する事実を確認したことを理由に、JR九州グループで福岡~韓国・釜山間を結ぶ高速船を運航しているJR九州高速船(福岡市)に対し、海上運送法に基づく行政処分として「輸送の安全の確保に関する命令」を出した。

国交省やJR九州高速船によると、今年2月11日にJR九州高速船の高速船「QUEEN BEETLE(クイーンビートル)」が運航中、浸水警報装置が作動。翌2月12日にダイバーが潜水してチェックしたところ、船体に幅70mm程度、貫通部分数mmのクラック(ひび)を確認したため、同社は応急処置の上、同14日まで運航を続けていた。

国交省が海上運送法に基づいて船体などを検査した結果、当該クラックからの船体浸水を確認。船舶安全法に基づく臨時検査の受検義務が生じていたにもかかわらず未受検の船舶を運航させるとともに、事故報告体制が機能しておらず、法令に抵触したと判断した。

国交省は7月23日までに、再発防止と安全確保のため、運航開始前の適切な検査実施や社内での安全最優先の周知徹底など必要な対策を講じ、その内容を報告するようJR九州高速船に命じている。

JR九州高速船は6月23日、水野正幸社長名義で「お客様、国土交通省関係部局ならびに関係者の皆様にはご迷惑とご心配をおかけすることになり、深くおわび申し上げます」と謝罪するコメントを発表。「今回の安全確保命令を真摯に受け止め、再びこのような事態を起こすことのないよう措置を講じるとともに、法令遵守を徹底し、さらなる安全運航確保に努めてまいる所存」と強調した。

(藤原秀行)

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