船舶のリアルタイムな気象・海洋情報収集など支援
KDDIは7月3日、米宇宙関連企業スペースXとノルウェーのマーリンクが提供する衛星高速通信サービス「Starlink(スターリンク)」を、海上利用向けに同日、サービス提供を開始したと発表した。
Starlinkの海上利用イメージ
海上の通信手段は以前から静止軌道衛星を利用したサービスが使われているが、PCやスマートフォンなど近年のデジタル機器の通信の高速化には対応できていない。気象情報や海洋情報がインターネット経由でやり取りされるようになり、海上でのリアルタイムな情報収集や発信が困難になりつつあるのが課題となっている。
「Starlink」の高速通信が海上でも利用できるようになることで、リアルタイムでの気象情報や海洋情報の取得や送信による安全な運航の支援、データを大量に取り扱う海洋研究のDX化、船舶の自動航行などが実現可能になると想定。緊急時の連絡手段確保や長期乗船といった特殊な環境下で働く船員の満足度向上などにもつながるとみている。
KDDIは2021年9月にスペースXと業務提携し、auの携帯電話基地局のバックホールにStarlinkを活用、山間部や島しょ部などでも都市部と同様の高速通信が可能となるよう順次構築を進めている。22年10月からは「認定Starlinkインテグレーター」として、法人・自治体向けに「Starlink BUSINESS」の提供を開始し、建設現場や屋外施設の遠隔監視、災害対策など様々な場所で利用が広がっている。
海上利用向けでは航海中にダウンロード速度最大220Mbpsの通信環境を利用できると見込む。アンテナは「Flat High Performance」タイプで、設置面積が小さく、デッキ上のスペースを占有することなく設置できるのが特徴。
Flat High Performanceアンテナ(いずれもプレスリリースより引用)
(藤原秀行)