24時間体制で検体や薬剤を取り扱い、実用化目指す
藤田医科大学と川崎重工業、警備ロボットを手掛けるSEQSENSE(シークセンス)は7月10日、医療従事者の負担軽減と業務効率化を目指し、川崎重工の屋内配送向けサービスロボット「FORRO(フォーロ)」を活用した配送サービスを藤田医科大学病院(愛知県豊明市)で同日開始したと発表した。
正式な導入に向けたトライアルとしての運用で、3台のFORROが24時間体制で検体配送や薬剤配送業務に従事する。実サービスに近い形での業務を通じて、各配送の頻度や量、他医療従事者への影響を確認し、今後の藤田医科大学病院におけるサービスロボットのさらなる活用方法について検討する。
トライアルサービスの様子
トライアルは、大学病院A棟9階・10階・11階と臨床検査部・薬剤部の間をサービスロボットが往復する。
FORROは広範囲をセンシングし、外来患者が多い日中の混雑時間帯でも安全に走行できると見込む。病院特有の環境変化の多さ(ドアの開閉・カートやベッドの有無など)に対しても確実に機能する。45分の充電で連続6時間稼働可能で、タスクとタスクの間に自動充電し、稼働時間を最大化する。
病院での常時運転では全国初となる「エレベータでの人とロボットの相乗り」を実現。混雑時の乗車見送りや、タッチパネルあるいは手動操作でベッドを優先させるための緊急降車を可能にしている。
周囲の混雑具合、時間帯、エリア別に最適な速度に調整するシステムを搭載。混雑していない環境では安全を確保しながら高速モードに切り替わる。 周囲の人と物を検知しながら、目的地まで最適なルートを選択し走行する。
トライアルサービスの様子
スタッフステーション・薬剤部・検査部に設置されたスマートフォンでFORROを所定の位置に呼び出したり、配送状況を確認したり、到着時の通知を受けたりすることができる。
ロボット操作端末画面(開発中のため今後変更の可能性あり)
トライアルサービスでは川崎重工、SEQSENSE、近計システム、デジタル・インフォメーション・テクノロジーが共同開発したプラットフォームクラウドシステム、ロボット連動ユニットを採用、エレベーターや自動ドアと連携している。高い応答速度により周囲の医療従事者にストレスを与えない走行を実現している。
本サービスは、屋内配送の実装に必要な機能や、エレベータや自動ドアなど院内設備との調整までをオールインワンのパッケージ化しており、サービスを導入する病院にとって導入や運用にかかる調整の手間やコストの抑制が可能と見込む。
(藤原秀行)※いずれもSEQSENSE提供