ダイキンが茨城・つくばみらいに関東初の空調機生産拠点新設へ、輸送費高騰やドライバー不足も意識

ダイキンが茨城・つくばみらいに関東初の空調機生産拠点新設へ、輸送費高騰やドライバー不足も意識

国内向け製品供給力を強化、27~28年の製造開始目指す

ダイキン工業は8月2日、空調機の新たな生産拠点を設立するため、茨城県つくばみらい市の土地を取得することを決定したと発表した。

関東では初めての工場となる。国内の空調機需要に対する供給の最適化を図り、さらなる拡大を目指す。投資額は約200億円を予定している。

土地の取得を決定したつくばみらい市の「圏央道インターパーク つくばみらい」は、茨城県の南西部に位置し、都心から40km程度の場所に立地し、つくばエクスプレスまたは車で1時間程度。

同社は現在、世界約90カ所で空調機や関連部品を生産している。国内は堺製作所(大阪府堺市)、淀川製作所(同摂津市)、滋賀製作所(滋賀県草津市)と、創業地の大阪を中心に、関西圏に集中している。

新拠点の設立を機に、既存の工場でも製品の供給力・コスト力・生産技術力など、モノづくり力をさらに強化していく予定。新拠点も含めて国内工場の機能を再編することで、日本がグローバルマザーとして、全世界の生産拠点を牽引していく体制を確立する。

今回の新工場建設の目的は、海外の生産を国内に移す「生産の国内回帰」ではなく、純粋な「国内生産の強化」と位置付けている。

つくばみらい市は今後も大きな製品ニーズが見込まれる首都圏に位置し、需要変動に応じたタイムリーな製品供給が可能になると想定。今後ますます深刻化する輸送費の高騰やドライバー不足といった長距離輸送の課題に対しても効率的な対応が期待できるとみている。

市場の成長が期待される関東以北の寒冷地市場に対しても、陸上、海上輸送の両面で優位性を持っている。気温上昇やカーボンニュートラルを背景にした燃焼暖房からの置き換えによって需要の高まりが見込まれる寒冷地向けエアコンや、ヒートポンプ式給湯機などの供給を円滑にできると見込む。 

新工場の建設により、自然災害など工場の操業に影響を及ぼす突発的な事象が発生した際に、商品の供給が途絶えるリスクを低減できると期待。新しい生産拠点では、第一ステップとして2027~28年にかけてルームエアコンの生産を開始する予定。

将来、事業環境の変化を見極めながら生産品目の拡充などの設備投資を行うことを想定している。


新工場のイメージ(プレスリリースより引用)

■新しい生産拠点の概要
・名称:ダイキン工業株式会社 つくば製作所(仮称)
・所在地:茨城県つくばみらい市
・投資金額:約200億円
・敷地面積:約98,000㎡
・生産品目:住宅用空調機

(藤原秀行)

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