サプライチェーンのグローバル化などに対応、米国も事業化準備
大和ハウス工業は、物流施設事業で新たにミャンマーへ進出する計画を進めている。パートナー企業と組み、既に同国内で開発用地を確保した。日系の食品メーカー・卸など向けに施設を提供することを想定しているとみられる。
同社はサプライチェーンのグローバル化やコールドチェーン対応へのニーズの高まりといった情勢を踏まえ、同事業で海外展開に注力。これまでにベトナム、インドネシア、タイ、マレーシアのアジア4カ国でプロジェクトに着手した。
工業団地と物流施設をセットで開発するなどして日系企業の需要を獲得、現地で加工した食品を日本へ輸出する際の拠点などとして使われている。このほか、シンガポールも物流施設開発の準備を進めている。
ミャンマーは電力といったインフラ整備の面で不安が残るものの、日本の製造業による拠点開設などの動きが続いていることなどを踏まえ、引き続き成長の余地が大きいとみて同事業の基盤整備を図る。2019年中にも工事をスタートしたい考えだ。
併せて、米国もかねて物流施設事業の展開に向け、同国内で用地の選定を進めてきた。巨大な消費市場を抱え、eコマース先進国として将来も物流効率化の需要が見込まれる点に着目しており、19年中にも事業化のめどを付けることを目指している。
「日本国内の物流だけ見ていては生き残り厳しい」
大和ハウスは日本国内で都市部に限らず地方でも物流施設の開発・運営を積極的に進め、同社独自の開発案件「Dプロジェクト」の累計では全国181カ所、総延べ床面積約558万平方メートルに達している(18年3月末時点、施工中のものを含む)。
ただ、日本は少子高齢化の進展で大きな経済成長は期待しづらい上、今後も製造業のグローバル展開や食品輸入拡大が継続していくことが確実視される中、「国内の物流だけを見ていては物流施設デベロッパーとして生き残るのは難しい」(物流施設事業を担当する浦川竜哉取締役常務執行役員)と判断。海外展開を急いでいる。
昨年はマレーシアのクアラルンプール郊外でマルチテナント型の施設開発に本格着手。3温度帯に対応可能な拠点とし、食品企業に利用を訴えていく構えだ。進出済みのベトナムでもホーチミン郊外の工業団地内で大和ハウスとしては同国初となるマルチ型施設2棟の開発を本格的にスタートした。
19年度からの新中期経営計画も海外の収益拡大に重点を置くとみられ、物流施設事業を成長ドライバーの1つに位置付ける見通し。他の東南アジア諸国や欧州などでの物流施設事業展開も引き続き検討課題となりそうだ。
(藤原秀行)