東京流通センター、東京・平和島で再開発の大型拠点「物流ビル新A棟」竣工

東京流通センター、東京・平和島で再開発の大型拠点「物流ビル新A棟」竣工

20.2万㎡に建て替え

東京流通センター(TRC)が東京都大田区平和島で再開発を進めてきた「東京流通センター」内の「物流ビル新A棟」が竣工し、現地で8月28日に記念式典を開催、メディアなどにお披露目した。

東京流通センターは物流施設やオフィスビル、展示場を備えており、その一角を占めていた1971年完成の物流施設「物流ビルA棟」を建て替え、免震構造のマルチテナント型物流施設として生まれ変わらせた。

地上6階建て、延床面積は約20万2000㎡。TRCは先に、同じく敷地内にあった「物流ビルB棟」を再開発、地上6階建て・17万1300㎡の「物流ビル新B棟」に建て替え、2017年に完成しており、2棟目の再開発完成となった。

新A棟の現在の成約状況は50%弱で、概ね目標通りという。

東京モノレールの流通センター駅から徒歩1分で、労働力確保の面で強みがある立地。首都高速道路羽田線の平和島出入口から約1km、同湾岸線の大井南出入口から約3kmで、羽田空港や東京港へのアクセスにも優れている。


新A棟の外観

小規模・冷凍冷蔵優先エリアを1階に設置

新A棟は大きな特徴として、マルチテナント型の案件では珍しく、最小476㎡(144坪)から最大2万5785㎡(7800坪)まで幅広い賃貸区画を設定しており、過不足ない面積で利用できるよう配慮している。

具体的には、1階は小規模・冷凍冷蔵優先エリアとし、1区画当たり435坪前後で設計。冷凍・冷蔵利用を前提として、電源容量は動力45VA/㎡(電灯・コンセント20VA/㎡)を確保した。2~3階は144坪~435坪の小規模区画で、ショールームやオフィスなど倉庫以外を含む様々な用途に対応可能。4~6階は5289㎡(1600坪)以上の大規模利用を見込んでいる。


1階の倉庫スペース


476㎡(144坪)の最小区画

小規模利用のテナントの方が業種的な特徴や自動化がされていないといった事情から面積当たりの従業員数が多い傾向にあることを踏まえ、1~3階は屋外に人が安全に移動するための歩廊を特設した。

梁下有効天井高は1階の冷凍・冷蔵優先エリアが5.7m、2階以上は5.5m。冷凍・冷蔵倉庫では床上に結露防止の施工をするため若干天井高に余裕を持たせている。

多様な用途への併用を見込み、エントランスはマンションやホテルのようにグレード感のあるデザインを採用。TRCは「長期保有を前提としており、全体としては流行に左右されないデザインを検討した。隣接するB棟との親和性も考慮した」と強調している。

1階にはコンビニエンスストアや休憩室、シャワールームなどのアメニティスペースを完備。一般的な男女別トイレ、誰でもトイレに加えてオールジェンダートイレも設置した。

ランプウェーなどの外壁の一部にはグリーンカーテンの設置を進めている。屋上には大型貨物車76台分を含む計442台分の駐車場を整備。EV(電気自動車)、PHEV(プラグインハイブリッド車)の充電に対応したスペースも16台分設けている。従業員のための休憩スペース「スカイテラス」を設置、リラックスする時間を取ることができるようにしている。


屋上のアメニティスペース


屋上駐車場

2024年問題で「中継基地の機能担うことも」

記念式典後にメディアの取材に応じたTRCの有森鉄治社長は「会社設立から56年、旧A棟の完成から52年と、半世紀以上にわたって蓄積してきた施設の運営管理ノウハウをフルに活用し、新A棟の企画を完成させた。都市型の物流施設として多種多様なニーズに対応できる施設を目指した」と狙いを説明した。

トラックドライバーの長時間労働規制強化に伴う物流現場の混乱が懸念されている「2024年問題」については「全国に中継基地が必要となってくる。当施設はロケーションとしては都内への配送拠点として強みがあるが、中継基地としての機能を担うことも考えられる」との見方を示し、輸配送効率化への貢献に意欲を見せた。

物流系のスタートアップの入居も歓迎している姿勢をアピール。併せて、「東京流通センター」の敷地内にある「センタービル」で運営している、物流の最新技術に触れられる常設のショールーム「TRC LODGE」にも言及し「入居されたスタートアップにTRC LODGEの会員になっていただき、テナントの物流企業とのマッチングにつなげるなど、良い流れを作っていきたい。それは社会的にも意義のあることだと思う」と構想を語った。


テープカットの様子

(川本真希、藤原秀行)

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