4月に運用開始、将来は産地などにも利用範囲拡大へ
ユーピーアール(upr)は9月12日、全国農業協同組合連合会(JA全農)グループの全農物流とパレット輸送を拡大するためのパレット管理システムを共同開発し、今年4月に運用を開始したと発表した。
米袋のイメージ
米穀業界は重量物の米穀紙袋の手荷役負担が大きいため、トラックドライバーに敬遠され、輸送力の確保が困難となっている。そうした状況を打開し輸送の持続可能性を高めるため、2020年に全農・全農物流・uprの3者による共同取り組みで米穀のパレット輸送を開始、現在に至るまで倉庫から精米工場までuprレンタルパレットを活用した一貫輸送を推進してきた。
近年、「物流の2024年問題」が大きな関心を集め、パレットの利用拡大がさらに見込まれる中、既存のシステム運用方法では事務処理における効率性に欠け、パレット利用が今後増加した際にも持続可能な運用体制の構築が求められているため、全農物流とuprが組み、日本国内で米の安定供給を確保するため、新しいパレット管理システムの共同開発に踏み出した。
新システムは将来の米穀パレット輸送拡大を見据え、DXを駆使し、パレットの利用・管理をより効率化することを目的に掲げている。これまで電話やFAXに依存していたパレットのレンタル・返却依頼業務をウェブサイト上で行えるようにし、手入力削減など作業効率化と正確なデータ蓄積を実現。さらに、棚卸しチェック表や入出庫伝票といった帳票類の出力がシステムから可能となり、手書き形式の帳票類を削減した。
また、Excelで作成していた各種レポートもシステムから出力可能にした。
併せて、積み荷情報(品名、積載重量、産地など)やレンタルパレット以外の物流機器(ネステナー・パレットサポーターなど)の管理状況も全農物流・upr相互で把握可能にしている。
今回の開発による、現状の新システム利用範囲は全農物流とuprが対象。次期開発では、産地(全農・JA)および各持ち込み先(精米工場など)にもシステムの利用を拡大する予定。次期開発完了による利用開始時期は2024年10月を見込んでいる。
米穀パレット輸送におけるパレット管理システム導入後の運用スキーム
(藤原秀行)※いずれもupr提供