NAAとANA、成田空港貨物ターミナル地区に貨物上屋集約しオペレーション効率化へ

NAAとANA、成田空港貨物ターミナル地区に貨物上屋集約しオペレーション効率化へ

温度管理施設を拡大、医薬品や生鮮品などに対応図る

成田国際空港を運営する成田国際空港株式会社(NAA)と全日本空輸(ANA)は9月20日、同空港地域で2024年10月、航空貨物の荷さばきや一時保管を担う新たな「貨物上屋」の運営を開始すると発表した。

NAAが同空港貨物施設の分散や狭隘化の対策として、同空港貨物ターミナル地区に新設する第8貨物ビルをANAが借り、現在6カ所に分散している貨物上屋を同ビルと既存の第7貨物ビルの2カ所に集約。最新設備で効率性の高い新たなオペレーションを始める。

温度管理施設を拡大し、医薬品や生鮮品など高まる輸送需要に対応することを目指す。両社は併せて、第8貨物ビルに近接する場所に貨物ゲートを新設、同ビルへのアクセス向上を図る。

第8貨物ビルは地上2階建て、延床面積は約6.1万㎡で、このうち上屋面積は約3.8万㎡。ANAとしては最大規模の貨物上屋となる。輸出貨物・輸入貨物・三国間貨物・国内貨物
をそれぞれ取り扱う。

NAAとANAは第8貨物ビルを活用し、同空港のアジアゲートウェイ機能を強化するとともに、日本からの輸出・輸入の強化による貨物の国際競争力を高めていきたい考えだ。

ANAは分散していた上屋を集約することで、顧客との貨物の受け渡しを1つの上屋で完結できるようになるほか、三国間貨物の発着作業を同一上屋で行えるため接続時間を短縮し、アジア~北米間の三国間需要の利便性向上につながると想定。

また、上屋内では、自動搬送車(AGV)を導入し、貨物の搬送・蔵置作業を自動化する。デジタル技術を活用した作業の効率化を推進し、省人化を追求する。

上屋内では医薬品や生鮮品などの温度管理が必要な輸送需要に対応するため、温度管理施設を拡充。ANAは2017年に国際品質認証として「CEIV Pharma」、23年に「CEIV Fresh」の認証をそれぞれ取得した。CEIV 認証規格に準拠した設備を完備し、サービスレベルを高める。加えて、動物庫や貴重品庫を拡大し、幅広い輸送需要に対応する。

上屋内には一連の貨物ハンドリングを行う自動ULD(航空貨物搭載器具)ラックを設置し、上屋空間を有効活用。貨物の保管スペースを拡充するとともに、ULDの搬送・蔵置作業を自動化することにより、オペレーション品質の向上と省人化を実現させる。

NAAは2021年に策定した「サステナブル NRT2050」で50年度までに同空港から出るCO₂を15年度比で50%削減する目標を設定している。その一環として、建物の新築時にはBELS(建築物省エネルギー性能表示制度)に基づき「ZEB化」を目指しており、第8貨物ビルは高効率の空調設備や断熱性能の高い建材を採用するなど、「ZEB Oriented」認証を今年7月28日付で獲得済み。加えて、太陽光発電システムの導入による「創エネ」を実施する。

【省エネ対策に係るイメージ(一例)】

【貨物ゲート位置図(イメージ)】

(藤原秀行)※いずれもプレスリリースより引用

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