i Labo、既存ディーゼルから転換した「水素エンジントラック」の実証走行へ

i Labo、既存ディーゼルから転換した「水素エンジントラック」の実証走行へ

旅行者のスーツケースなど輸送、出力や燃費など検証

水素エンジンの開発を手掛けるi Labo(アイラボ)は11月6日、水素エンジンを搭載した中型トラック(総重量8t以下)による実貨物を搭載した物流業務を行う実証走行試験を開始すると発表した。11月1日に関係者で出発式を開催した。

同社は既存のディーゼルエンジン重量車を水素エンジン車に改造し、実用性と環境性・経済性を評価する環境省の令和3年度(2021年度)「水素内燃機関活用による重量車等脱炭素化実証事業」に採択され、同年10月に事業をスタート。水素エンジン、水素燃料系装置、エンジン制御システム、安全装置などを搭載する中型トラックの開発を進めてきた。

部品交換や制御変更などで既存のディーゼルエンジン搭載トラックを、水素を燃料として運転可能なトラックに置換する「水素化コンバージョン」の普及促進に努めており、山梨県の「Labo山梨R&Dセンター」の水素専用エンジンベンチで水素エンジンの開発を進めている。

水素化コンバージョンの技術は既存のエンジン技術を活用するため製造コストを抑えられる上、燃料電池と異なり高品位水素(Grade-D水素)を必要としないため、化学工場などの低コストの副生水素の活用により、燃料としての水素コストそのものの低減を可能にするという。

同技術はトラックに限らず、その他の輸送機械、重機などの産業機械、発電機、船舶、鉄道車両への適用が可能と見込まれている。世界的に脱炭素の潮流が強まる中、非化石燃料パワートレーンのもう1つの選択肢となる水素エンジンにより早期の脱炭素社会実現に貢献したい考え。

実証走行試験では、羽田空港から東京ディズニーランド周辺ホテルの固定ルートのピストン輸送で、インバウンドを中心とした旅行者のスーツケースなどの運送業務に水素エンジン搭載トラックを使用する。3カ月間実施し、その間は一般道と高速道路での走行、隣接水素ステーションでの水素充填作業、実貨物の集荷・配達を実施する。

出力、燃費、安全性、耐久性、運転しやすさなどを検証し、水素エンジン搭載トラックの普及によって産業領域における脱炭素化の早期実現を後押しする。


出発式に参加した(左から)カーボンニュートラル推進協議会・増山壽一代表理事、三芳エキスプレス・伊藤耕一代表取締役、環境省 水・大気環境局モビリティ環境対策課 脱炭素モビリティ事業室・中村真紀室長、i Labo・太田修裕代表取締役、石井拓衆議院議員

(藤原秀行)※いずれもi Labo提供

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