荷待ち10時間発生の情報、出荷遅れ説明なく翌日配送強要や過積載運行指示の疑いも

荷待ち10時間発生の情報、出荷遅れ説明なく翌日配送強要や過積載運行指示の疑いも

国交省が「要請」内容公表、11~12月は集中監視月間に

国土交通省は11月7日、全てのトラック運送事業者を対象とした、荷主企業から受けた問題行為に関する調査結果を公表した。

調査対象事業者6万3251社のうち、ウェブ経由で回答があった1万629件(1事業者から複数回答あり)を分析。法令違反につながるような問題行為のうち、「長時間の荷待ち」が38%で最多を占めるなど、依然根強く課題が残っていることを浮き彫りにした。

国交省は併せて、今年10月末時点で、改正貨物自動車運送事業法に基づき、これまでに適正な取引を阻害する疑いのある行為について荷主に是正を求める「働きかけ」が251件、より強い「要請」が10件に上ったと報告した。

このうち、荷主の問題行為を監視する「トラックGメン」を立ち上げた今年7月21日以降では、働きかけが166件、要請が6件となった。

国交省は既に公表している通り、11月と12月を「集中監視月間」に設定し、厚生労働省の荷主特別対策担当官や中小企業庁の下請Gメンらと連携しながら、荷主やトラック事業者への合同ヒアリングを実施。併せて、国交省の側から積極的に情報を集める「プッシュ型情報収集」を進め、悪質な荷主らの当該行為に関する情報収集を強化。必要に応じて働きかけや要請、さらに「勧告・公表」も実施し、問題行為の早期是正を図る構え。

国交省の調査結果速報では、違反の原因となる行為を行っている疑いのある荷主のうち、発荷主(元請け運送事業者含まず)が46%、着荷主が21%、元請け運送事業者(利用運送事業者含む)が28%、その他の倉庫事業者などが5%だった。

長時間の荷待ち以外の違反原因行為に占める割合は、「運賃・料金の不当な据え置き」が22%、「契約にない付帯業務」が20%、「異常気象時の運送依頼」が9%、「過積載の指示・容認」が4%となった。

違反原因行為ありと回答したうち、輸送物品の割合(複数回答あり)は「食品(加工品)」が20%、「飲料品」が13%、「日用品」が10%、「金属・金属製品」と「建材」がそれぞれ7%、「農産品」が6%などと続いた。

なお、国交省は全回答者のうち、どの程度の割合で違反原因行為があったと認めたのかや、それぞれの項目の具体的な回答件数は開示していない。今後はファクスによる回答も集計を進める。

要請を実施したケースでは10件のうち、「長時間の荷待ち」が8件で最も多かった。「契約にない付帯業務」「無理な配送依頼」「過積載運行の指示」が各1件だった。1件については長時間の荷待ちと契約にない付帯業務の両方に該当した。

長時間の荷待ちでは、製造業の発荷主の工場で3~6時間の荷待ちが発生していると疑われたり、サービス業の発荷主が数年前から最大7時間に及ぶ荷待ちをさせているとの情報が寄せられたり、荷主子会社の元請け運送事業者で数時間から10時間に達する荷待ちが生じているとの情報を複数得られたりしたという。

他にも、長時間の荷待ちに加えて契約にないラベル貼りをさせたり、出荷遅れの説明をせず翌日配送を強要したり、過積載の運行を指示したりしたことが疑われた。

(藤原秀行)

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