英ヴァージンが世界初、持続可能な航空燃料SAF100%で大型機が大西洋横断に成功

英ヴァージンが世界初、持続可能な航空燃料SAF100%で大型機が大西洋横断に成功

普及促進の必要性アピール

英ヴァージン・アトランティック航空は11月28日、世界で初めて、環境負荷が低い持続可能な航空燃料「SAF」100%を使った大型旅客機で、ロンドンのヒースロー空港から米東部ニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港まで大西洋を横断して飛行することに成功したと発表した。

同社より先の11月19日には、米航空機メーカーのガルフストリーム・エアロスペースが小型ジェット飛行機で、同じくSAFのみを使い、大西洋の横断飛行を果たしていた。

ヴァージンが運航したのはボーイング787型。


ヒースロー空港で機体の前に集まるヴァージン関係者ら(同社提供)

SAFは廃食用油や植物油などを活用して製造、従来のジェット燃料と比べて温室効果ガス排出量を最大70%減らせると見込まれる。ただ、通常のジェット燃料より価格が高いことがネックとなり普及が遅れ、ヴァージンによれば世界のジェット燃料量に占める割合は22年で0.1%未満にとどまっている。現行の燃料規格では商用ジェットエンジンでSAFを燃料に混ぜる割合は最大50%までに抑えられているという。

ヴァージンは今回の飛行でSAFの有効性をアピールし、官民の双方に投資を働き掛けていく構えだ。

ヴァージンのシャイ・ワイスCEO(最高経営責任者)は同日、飛行成功を受け「SAFが長距離航空の脱炭素化に向けた唯一の実行可能なソリューションであることを証明した。SAFを十分に供給するためには投資を大幅に増やす必要がある」とコメントし、政府に普及促進へ支援の拡充を訴えた。

(藤原秀行)

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