国交省検討会が実用化促進へ提示
国土交通省は4月22日、東京・霞が関の同省内で、「過疎地域等におけるドローン物流ビジネスモデル検討会」(座長・根本敏則一橋大名誉教授)の第2回会合を開いた。
国交省が前回の初会合で出た意見を踏まえ、山間部や離島などでドローン(小型無人機)を利用した物流サービスを実用化していく上での課題を整理。機体と関連設備のコストがかさむことや機体リースなどの賃貸借サービスがまだ提供されていないこと、安全対策や通信といったインフラ整備への投資を要することなどを列挙。
その上で支援の方策として、日常の買い物手段などの役割を担っている公共交通を維持するために用いられている公費の一部をドローン物流に充ててサービス運用のトータルコストを減らしたり、災害時の緊急物資輸送へ円滑に利用できるドローン物流に公費を投じたりすることの可能性を検討していく方向を提示した。
検討会の第2回会合
併せて、収益を確保できるドローン物流のビジネスモデル構築のため、物流以外の分野にもドローンを利用して採算性を高めるといった対策を議論していくことを示した。
検討会の冒頭、根本座長は「前回の会合でビジネスモデル上、技術上の課題があると理解したが、それにしてもドローンは有望なシステムであり、普及に向けて知恵を絞っていくことが重要だとあらためて認識した」とあいさつした。
検討会の冒頭にあいさつする根本座長
検討会は有識者に加え、ヤマトホールディングスや日本郵便、自律制御システム研究所(ACSL)、エアロセンス、楽天、ファミリーマートの各社と地方自治体の関係者が出席。国交省幹部も参加している。オブザーバーとしてドローンに関わる内閣官房と総務、経済産業、環境の各省から幹部が名を連ねている。
6月をめどに中間取りまとめを行う予定。今後はドローンの積載能力改善や機体点検の自動化による人為ミス回避、安全性確保のためのルールなどについても議題とする見込みだ。
この日の会合ではファミリーマートが岡山県和気町で参加したドローンによる商品配送実験の様子を報告。課題として配送頻度の増加や機体の積載重量改善、飛行時の騒音対策といったポイントを指摘した。
三菱総合研究所は、各地で行われたドローン物流の実験成果を分析し、トラックなどによる配送に比べてCO2排出削減の効果が見込める可能性があると解説した。
(藤原秀行)