【現地取材・動画】KDDIグループやJALなど、東京・檜原村で国内初のドローン「レベル4」医薬品輸送を公開

【現地取材・動画】KDDIグループやJALなど、東京・檜原村で国内初のドローン「レベル4」医薬品輸送を公開

診療所から特養屋上まで4.8kmを往復、25年度以降の社会実装目指す

KDDIやKDDIスマートドローン、日本航空(JAL)などは12月20日、東京都西多摩郡檜原村で、国内で初めて有人地帯上空をドローンが補助者なしで目視外飛行する「レベル4」で医薬品を輸送する実証の様子をメディアに公開した。

実証は3社のほか、JR東日本やウェザーニューズ、メディセオも参加している。ドローンはACSL製で、この日公開した実証では、医薬品に模したダミーの荷物を運んだ。

KDDIスマートドローンやJALなどは、人口減少に直面する地方でもドローンを生かすことで、医薬品を安定的かつ迅速に輸送できる体制を実現したい考えだ。

実証は東京都の支援を得て、12月14日から同日まで1週間実施。毎日午後に村内の「檜原診療所」から特別養護老人ホーム「桧原サナホーム」の屋上まで医薬品を積み込み、往復約4.8kmを約13分で往復飛行した。一部ルートは住宅や道路の上空を横切っている。

桧原サナホームに隣接している地域住民の施設「小沢コミュニティーセンター」に安全運行管理を担うスタッフが常駐し、ドローンに取り付けたカメラなどを活用して遠隔で運航した。

この日の実証では、ドローンが檜原サナホームの屋上まで円滑に飛行、到着して機体に搭載していた医薬品入りケースを自動的に切り離した後、再び出発地に向けて飛び立った。


特養「桧原サナホーム」


周囲に住宅が集まる「桧原サナホーム」の屋上に着陸するドローン

積み込んだ医薬品のダミー。無事問題なく届けられた


遠隔操縦のため現地に常駐しているスタッフ

無人地帯上空を飛ぶ前提の「レベル3」飛行の場合に比べ、「レベル4」飛行を実施することで、往復の輸送時の飛行距離をレベル3より約30%、飛行時間を約24%短縮できるため、バッテリーの交換も不要になるという。KDDIスマートドローンなどはレベル4の方が難度は高いが、効率的なドローン運航が可能になると指摘している。

現地で記者会見したKDDIスマートドローンの博野雅文社長は、2025年度以降の実用化を目指し、引き続きドローン物流に取り組んでいく考えを強調。「医薬品配送で社会実装できれば、例えば病院から被災地の状況を確認ことなどにも活用できる」と意義を訴えた。

桧原サナホームの齋藤裕施設長は、これまでに悪天候で道路が寸断され、施設が孤立したことが数回あると明らかにし、「このようなドローン物流が実現するのは非常にありがたい。ぜひ早期に実用化してほしい」と期待をのぞかせた。


撮影に応じる(左から)桧原サナホーム・齋藤施設長、KDDIスマートドローン・博野社長、JAL・村越仁エアモビリティ創造部長、桧原サナホーム・健康推進課看護責任者の小林和樹氏、KDDI・荻野裕之DXサービス推進部副部長

(藤原秀行)

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