ヤマトシステム開発やセンコーと連携、「2024年問題」対応やCO2排出削減図る
ゼネコン大手の鹿島は12月26日、建設資材の効率的かつ環境に配慮した運送の実現に向け、新たな取り組みを開始したと発表した。
ヤマトホールディングス傘下のヤマトシステム開発と連携し、現場で作業する協力会社と運送会社をマッチングして資材の運送を効率化するアプリを開発、運用を始めた。
併せて、物流会社と連携し、資材を大型車両で物流センターまで運送して一時保管した後、工事のタイミングに合わせて小型車両で現場に運送する仕組みを構築、現場への導入をスタートした。センコーと連携し、まず横浜市内の集合住宅工事現場に導入、運送時のCO2排出量を従来比約60%削減できたという。
今後は物流会社との連携を拡大し、新たな取り組みを各現場に横展開。「2024年問題」への対応と運送時のCO2排出抑制を図る。
運送マッチングのイメージ
物流センターを中継する運送のイメージ
建設現場では日々大量の資材が運送されるが、車両の可能積載量に対して実積載量が少ない「低積載」や、荷降ろし後の荷台が空となる「空荷」など、非効率な状態が度々発生している。一般的に、資材は遠方にある製造元から現場に大型車両で一括運送されるが、現場の規模により荷受量などが制限される場合には、小型車両で何度も運送する必要が生じ、車両由来のCO2排出量が増えるといった課題も抱えている。
2024年問題への対応も迫られる中、新たな取り組みを講じることにした。
運送マッチングアプリの操作画面イメージ
アプリは現場で作業する協力会社が「いつ、どの資材が欲しい」と入力した情報と、運送会社が「車両サイズ、どこからどこへの運送、合積みと帰り荷の状況」を入力した情報を同じ画面で共有。双方の情報を一元管理することで、これまでロスとなっていた部分が一目瞭然となり、無駄を無くすための諸調整を容易に行えるとみている。
さらに、運送後に空荷となる車両に、現場から搬出したい資材を、帰路上にある資材置場に運送するようマッチングすることで、効率をより一層高められると想定している。
低積載を解消する取り組みのイメージ
空荷を解消する取り組みのイメージ
資材の製造元は現場から遠方にあることが多いため、資材の運送は大型車両を使って一括で運送する方が効率的だが、多くの現場では大量の資材を保管するスペースがないのが実情。鹿島はセンコーの協力を得て、同社が保有する物流センターを中継して資材を運送する仕組みを考案した。
大量の資材を製造元から大型車両で同センターまで運送し、敷地内に一時保管。現場で当該資材が必要となった際に、同センターから都度小型車両で運送する。さらに、例えば集合住宅の工事では、住戸ごとに様々な建設資材を搬入する必要があるが、同センター内で住戸ごとにまとめて梱包してから現場へ運送することで、現場内での仕分け・運搬作業を効率化できると見込む。
同センター内での仕分け作業と建設現場への運送は、センコーが担う。
大型車両と小型車両の活用
物流センターに保管した資材を小分けにして運送
(藤原秀行)※いずれも鹿島提供