テラドローン子会社のユニフライ、ドローン運航管理システムのサイバーセキュリティ対策強化へ実証実験

テラドローン子会社のユニフライ、ドローン運航管理システムのサイバーセキュリティ対策強化へ実証実験

米連邦航空局から助成金、安全確保に注力

Terra Drone(テラドローン)は12月27日、今年7月に子会社化したベルギーに本社を置く運航管理システムプロバイダーのUnifly(ユニフライ)が、米連邦航空局(FAA)と、ドローンの運航管理システム(UTM)のためのサイバーセキュリティー確保に関する枠組みの構築で合意したと発表した。

併せて、この枠組みの実効性を評価・検証するための実証実験を行った。


(テラドローン提供)

UTMは誕生してからまだ歴史が浅く、脆弱性を悪用するサイバー攻撃の標的となる可能性が否定できない上、ドローンや「空飛ぶクルマ」の運航に関する安全や利用者のプライバシー、事業の運営などが脅かされる危険性があることから、UTMに対するサイバーセキュリティはドローン運航事業者など関係者の間で重要な課題として認識されている。

しかしこれまで、UTMに特化したサイバーセキュリティフレームワークは検討されておらず、どのようなセキュリティ機能を備えるべきかを想定することが困難な状況だったという。

FAAは航空輸送の安全・維持確保を管轄し、米国内のドローン運用促進のための環境整備も担っており、テラドローンはFAAから助成金を受けることが決定した。セキュリティをはじめとする先進技術分野のコンサルティングを手がけるRhea Group、ドローン関連技術の試験・検証を行うNUAIR NY Test Siteとのパートナーシップの下、UTMのためのサイバーセキュリティーに関するフレームワークを構築し、具体的なサイバーセキュリティー対策の開発に向け、実証実験に踏み切った。

プロジェクトは2022年9月から1年間、FAAの助成金によるプロジェクトとして、UTMに特化したサイバーセキュリティーの構築に取り組み、まずUTMに特化したサイバーセキュリティーの必要性に関して、業界に影響力のある米連邦航空局 航空交通機関(FAA ATO)、米航空宇宙局(NASA)などに意見を聴取した。

その結果、「UTMに特化したサイバーセキュリティーのフレームワークが必要」「UTMのような新しいプラットフォームを導入する際は、サイバーセキュリティーの方向性を確立することが不可欠」といった意見が寄せられるなど、全ての関係者がUTMに特化した新しいサイバーセキュリティーフレームワークが必要だとの認識を示したという。

そこで、「攻撃を受けていない理想的な環境」「サイバー攻撃を受けている環境」「サイバー攻撃対策を実施した環境」の3パターンの状況を設定。それぞれUTMを使って計60回以上のドローン飛行を実施し、各運用環境で実装したセキュリティー制御を検証した。

開発したUTMに特化したサイバーセキュリティーを適用することで、サイバー攻撃を受ける件数自体が減少したほか、脆弱性の数も減るなど、UTMを取り巻くサイバーセキュリティーの環境改善につながったと判断した。

テラドローンは実証実験の成果を受け「今後、UTMに対して高度なサイバーセキュリティー対策を実施することで、ドローンや空飛ぶクルマが飛ぶ空域のさらなる安全性を確保することにつながることが分かった」と指摘。「UTMに対するサイバーセキュリティー対策が、UTM業界全体はもちろん、サービスを利用する人々にも安全性や効率性をもたらすと考えている」と結論付けており、対応を継続する考えだ。

(藤原秀行)

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