ビジネス書評・本棚からひとつかみ『大型連休おススメの3冊!』

ビジネス書評・本棚からひとつかみ『大型連休おススメの3冊!』

(特別編)

①『スーパーカブは、なぜ売れる』

(中部博著、集英社インターナショナル)

生産が累計1億台を突破した驚異のロングセラー、ホンダのバイク「スーパーカブ」。なぜ国内外でこんなにも愛されているのかを、モータージャーナリストが精力的に取材、調査した。徹底した庶民目線で機能を開発し、海外向けは各国の文化や社会情勢に即して柔軟に商品名や仕様を修正。著者の言う「売れるべくして売れた商品」との指摘はまさにその通り。消費者に選ばれる商品のつくり方は大いに参考となりそう。(1500円)

②『日本のものづくりを支えた ファナックとインテルの戦略』

(柴田友厚著、光文社新書)

機械を製造する工作機械産業の歩みを、業界を知り尽くした研究者が詳細に追う。一見地味だけど実はものづくりを支える「世界最強の裏方産業」なのだ!と断言。特にパソコン業界に先んじてインテルのマイクロプロセッサ導入をリードしたファナックという2社の存在がそのことを決定付ける上で大きな役割を果たしたと指摘する。日本経済の“縁の下の力持ち”的な業界の歴史を垣間見ることができてとても面白い。(820円)

③『最後の頭取 北海道拓殖銀行破綻20年後の真実』

(河谷禎昌著、ダイヤモンド社)

1997年に都市銀行で初めて経営破綻した北海道拓殖銀行。最後の頭取を務めた著者が1世紀近い同行の歴史にピリオドを打った後、特別背任罪で実刑判決を受け収監されたジェットコースター人生を顧りみる。かつての放漫融資が不良債権化して経営を圧迫し、立て直しへ北海道銀行と合併で合意するも立ち往生。信用低下で資金繰りが急速に悪化、がけっぷちに追い詰められる過程が明らかに。バブル期の生き証人による言葉は実に生々しく、恐ろしい。(1800円)

(藤原秀行)

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