空港グランドハンドリング協会と航空連合、初の「産業労使懇談会」開催

空港グランドハンドリング協会と航空連合、初の「産業労使懇談会」開催

持続的な賃上げや業務の自動化などで意見交換、取り組みが重要と認識共有

昨年8月に発足した航空機の誘導など空港の地上業務(グランドハンドリング)を担う業界団体・空港グランドハンドリング協会と、航空会社の労働組合が加盟している航空連合は1月25日、東京の羽田空港内で、双方の幹部らによる初の「産業労使懇談会」を開催した。

深刻な人手不足や相次ぐ「カスタマーハラスメント」など航空業界が抱える諸課題について、労使間でそれぞれの取り組み状況を確認し、具体的な解決策を推進できるようにするのが狙い。

懇談会の初会合では「魅力ある業界づくり」「安心して働ける業界づくり」「省力・省人化などを通じた業界の生産性向上」の3点について、双方の活動状況を報告。持続的な賃上げなど処遇の改善、業務の自動化による負担軽減などについて意見交換し、取り組みを進めていくことが重要との認識を共有した。

双方は今後も必要に応じて懇談会を開催する方向。


懇談会の初会合

初会合の冒頭、空港グランドハンドリング協会の小山田亜希子会長(ANAエアポートサービス社長)は、羽田空港の滑走路で日本航空(JAL)機と海上保安庁の機体が衝突・炎上した事故を受け「あらためて航空と空港の安全の重要性を痛感している。懸命に対応された多くのスタッフがいらっしゃるということも認識している。われわれが働いている空港が社会インフラにとって重要な位置付けであり、多くの方々の生命や生活に直結している場ということを再認識した」と説明。

同協会発足時は参加企業が50社だったのに対し、今年1月1日時点で70社まで増えたことを紹介し、引き続き参加を呼び掛けていく意向を示した。

その上で「目指す姿が同じであるからこそ、その手法について労使が建設的に話し合うことが非常に重要。処遇改善の必要性に対する労使の認識に大きな差はないと考えているが、いかに業務の生産性を上げるかということも非常に重要なテーマになる。ぜひ忌憚のない意見交換をお願いしたい」と語り、懇談会の存在意義を強調した。


小山田会長

航空連合の内藤晃会長は、57組合・4万4306人が参加している中で約20組合・1万4000人の組合員が空港グランドハンドリング業務に携わっており、処遇改善などで継続的に議論を重ねてきていると解説。「空港グランドハンドリングに特化したテーマで意見交換、問題解決に取り組むことができる、航空連合にとってパートナーとなる事業者団体が必要だという課題認識を持っていた。(同協会発足は)労使が一体となって業界の問題解決に取り組む上での大変大きな前進だと受け止めている」と応じた。

さらに「われわれは片思いではなく相思相愛の関係になりたいと強く願っている。労使が真のパートナーとして、有意義な会だと思えるようになるためには、労働組合は現場で働く者の目線から耳の痛いことも含めて、職場の現状をタイムリーに伝えることに加えて、経営にとって芯を食った提言、提案をしていくことが重要だと考えている。(同協会と航空連合が)産業を代表する労使の立場で懇談会を開催することの意義は、経営も働く者も同じ問題意識を共有した上で協力、協働して問題の解決に取り組むことにある」とアピールした。


内藤会長

(藤原秀行)

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