工事関係書類をデジタル化、残業時間削減見込む
工場や店舗などの現場作業効率化とペーパーレス化をノーコードで実現できるソフトウエア「カミナシ」を展開しているスタートアップのカミナシは1月26日、東北電力グループで総合設備エンジニアリング事業を手掛けるユアテック(仙台市)が「カミナシ」を導入したと発表した。
建設業界も物流業界と同じく、従業員の時間外労働規制が強化される「2024年問題」を抱えており、対応が急務。ユアテックも中期経営計画野中で「業務変革の継続による競争力強化と働き方改革への対応」を掲げ、具体的な施策の1つとして「効率化・生産性向上に向けた抜本的な業務見直しとDXの推進」を打ち出しており、「カミナシ」の採用で業務の大幅な効率化と負荷軽減で2024年問題の克服を目指す。
具体的には、工事現場で安全性を確保するためのチェック(ひとりKYなど)や「ヒヤリハット」の報告への活用を想定。カミナシは現場の完全ペーパーレス化を図り、1帳票当たり年間約1000万円の費用対効果を生むと期待している。並行して、2025年度中に社内文書の完全ペーパーレス化を目指す。
ユアテック現場での「カミナシ」利用の様子(カミナシ提供)
ユアテックは送電・配電といった電力設備をはじめ、オフィスビルや工場、病院などの電気・空調管設備、情報通信設備の建設・維持のほか、土木建築工事も手掛けている。
2022年4月には社長を委員長とする「DX推進委員会」を立ち上げ、全社的なDX推進を開始。同委が現場従業員へヒアリング調査を実施した結果、紙帳票の管理に多くの手間が費やされ、業務生産性を低下させていること、加えてユアテック社内の全体の紙帳票の約7割超が工事関係書類で占めていることが分かった。そのため、「現場書類のデジタル化」に向け、「カミナシ」の採用に踏み切った。
ユアテックでも業界他社と同じく、現場の高年齢化が進んでいる上、また現場でPCやタブレットの利用機会が少ないといった現状があり、ITツールの導入に際して「現場からの抵抗」が懸念されていた。『カミナシ』の画面の分かりやすさや操作性の高さも導入の決め手になったという。
(藤原秀行)