特別調査委の報告書公表、トヨタからの「受託体質」指摘
豊田自動織機は1月29日、日本市場向けフォークリフト用エンジンで国が定める排出ガスの評価試験の際に不正行為を働き、認証を取得していた問題を受け、外部有識者による特別調査委員会の調査報告書を公表した。
この中で、「フォークリフト、建設機械用の旧型も含めた産業車両用エンジン、および、新たに一部の自動車用エンジンの法規違反が明らかになった」と説明、謝罪した。
報告書によると、既に法規違反が確認され、出荷を停止しているフォークリフト用エンジンの現行3機種と建設機械用エンジンの現行1機種に加え、新たにフォークリフト用エンジン6機種(うち5機種は旧型)、建機用エンジン1機種(旧型)で違反行為が明らかになった。
また、出荷停止中の建機用エンジン1機種は国の排出ガス規制値を超過していることが判明した。
認証を取得する際の排出ガスの劣化耐久試験で、実測値とは異なる数値を用いたり、試験中に部品を交換したりするなどの不正を行っていたという。
さらに、トヨタ自動車から一部開発を受託している「ハイエース」や「ランドクルーザー」などの自動車用エンジン3種類の関連でも不正があったことを確認した。
報告書は不正の要因として、内部監査や法規認証業務の体制に不備があったことや、担当者の法令順守(コンプライアンス)意識が欠如していたこと、トヨタから指示されたことは実行できるが自ら問題や課題を発見、解決する方策を導き出す力は弱いという「受託体質」があったなどと列挙。再発防止へ経営陣の意識改革、コンプライアンス文化の醸成などを提言した。
東京都内で同日、記者会見した特別調査委の井上宏委員長(弁護士、元福岡高等検察庁検事長)は不正行為の原因について「真意はより組織的、構造的な問題にあると考えられる。経営層には多くの問題が認められる」などと指摘した。
東京都内で会見する井上委員長
(藤原秀行)