トランコムが独自の幹線輸送プラットフォームを計画

トランコムが独自の幹線輸送プラットフォームを計画

物流情報サービスを軸にライトアセットの新モデル構想

トランコムは4月26日に東京都内で開いた2019年3月期決算説明会で、新たな幹線輸送プラットフォームの構築を計画していることを明らかにした。コアビジネスである物流情報サービス事業(求貨求車サービス)の豊富かつ広範な貨物情報と運送事業者のネットワークを軸に、大手路線事業者とは異なる独自のライトアセット幹線で輸送力の安定供給と長期的な企業成長につなげていきたい考え。

恒川穣社長は計画について「物流情報サービス事業の質的に完成された基盤をさらに発展させ、10~20年先の将来に向けて幹線輸送プレーヤーとして勝ち残っていくための事業戦略と考えている」と説明。

その上で「ドライバー不足で物が運べないリスクやコストアップ、小口輸送の加速による効率悪化は今後ますます深刻さを増していくだろう。新たな幹線輸送プラットフォームは当社が物流だけでなく社会的基盤を担う存在として展開する意味合いを持つ」との見方を示し、物流危機の打開と社会経済の貢献に取り組む姿勢を強調した。


恒川穣社長

物流情報サービス事業を率いる上林亮常務執行役員は「ドライバー不足で荷主企業はとりわけ長距離の幹線輸送に苦慮しており、物流事業者はトラックが少ない中でいかに工夫して貨物を運ぶことができるか問われている。当社の成約件数は1日当たり約6000件(年間135万件)、パートナーの運送事業者は1万3000社。幹線輸送プラットフォームではこうしたリアルセールス力と推計20万台以上のトラックにリーチできるネットワークを生かしていきたい」と展望する。

物流情報サービス事業が蓄積してきた基盤は3PLに相当するロジスティクスマネジメント事業、インダストリアルサポート事業など他部門への波及効果や付加価値ビジネスの創造、新規分野でも活用可能性が高いとみる。


上林亮常務執行役員

神野裕弘取締役専務執行役員は「貨物と車両を結び付ける物流情報サービス事業の独自性は社内外で期待が大きい。3PLプレーヤーなど同業他社への輸配送サポート、最適マッチングによるトラック1台当たりの積載率・売上高向上、パレット回収などの静脈物流をはじめ、荷主企業のみならず物流業界が抱える課題の解決にも寄与できると思う」と期待を寄せる。


神野裕弘取締役専務執行役員

恒川社長「路線事業者、パートナー企業と協調して車両不足に対応」

具体的な内容・施策については20年9月中間決算で公表する見通しだが、企業経営と幹線輸送プラットフォームの構築では引き続きライトアセットを志向していく。幹線輸送では大手路線事業者に見られる自社の施設・車両を活用していく手法が一般的だが、同社はパートナー企業の施設シェアリングや参加企業との共同建設などを前提にケース・バイ・ケースで拠点整備を検討する方針だ。

神野取締役は「自社でトラックターミナルや車両などを建設・保有する場合もあるだろうが、基本的には物流情報サービス事業のネットワークを駆使したシェアリング、アライアンスによってインフラを整えていく。設備投資で自前の物流センターや車両をたくさん増やすわけではない」と解説。物流情報サービス事業の持つ情報・ノウハウ・ネットワークといったソフト力を“原資”に据えるスタンスを明確にした。

また大手路線事業者との関係について恒川社長、上林常務執行役員は「既存のプレーヤーと競合するのではなく、双方でより一層の協調関係を築くことで深刻化する車両不足に対応していくことが目的。パートナー企業とともに誰もが乗り入れることができる新しい幹線輸送のプラットフォームをつくっていきたい」とのビジョンを示した。

物流情報サービス事業の売上高は2000年の約39億円から右肩上がりで拡大し、19年3月期には約840億円とわずか20年間で飛躍的な成長を遂げた。幹線輸送プラットフォームの構築によって、向こう5年を目安に1日当たりの成約件数1万件、専属車両2500台を目標に掲げる。

ただ恒川社長は幹線輸送プラットフォームの意義を「物が運べなくなるリスクやパレットの回収といった物流業界の課題を社会影響も含めて当社がどのように取り組めるか」と表現。物流情報サービス事業の規模拡大や自社の利潤追求を主眼としたものではなく、安定した輸送力の提供を通じて社会的機能・役割を果たしていくことを第一義とした。

(鳥羽俊一)

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