50億円の枠設定、鉄道以外の事業領域拡大図る
JR東日本は2月6日、東南アジアを中心に活動しているスタートアップへの出資や同社グループとの協業推進を担うコーポレートベンチャーキャピタル（CVC）「JRE Ventures（JREベンチャーズ）」をシンガポールに2月下旬設立すると発表した。
消費者の生活改善をサポートする「生活ソリューション」の事業領域に関する革新的な技術やビジネスモデルを有するスタートアップを対象に、50億円の出資枠を設定している。およそ5年間で1件当たり数千万円から数億円程度を出資することを計画している。
小売業界の自動化を促進する「リテールテック」領域などの海外スタートアップと連携し、鉄道以外にも事業を拡大させていく「Beyond Stations構想」を加速させたい考え。
（いずれもJR東日本提供）
東京・高輪エリアの「TAKANAWA GATEWAY CITY」をはじめ、JR東の多様なフィールドで新技術開発を目指すとともに、JR東が展開しているコワーキングスペース「One&Co」や、連携協力の覚書を締結したシンガポール国立大学とインキュベーション施設「BLOCK71」などが有するスタートアップのネットワークに参画。タイムリーかつ迅速に出資できるようにする。
CVCは当初、JR東グループの事業とシナジーが期待できる「広告」「リテール/EC」「物流」の事業領域に対応する「アドテック」「リテールテック」「ロジスティクステック」の領域で技術やビジネスを有するスタートアップに注目。今後は市場環境の変化などを考慮し、柔軟に事業領域の範囲を拡大する構え。
「ロジスティクステック」は人手不足が深刻化する中、複数荷主の荷物の高効率な混載や最適な配送ルートをシミュレーションする技術、倉庫自動化技術、ラストワンマイルの物流技術などを想定。物流のイノベーションを後押しできるようにする。
（藤原秀行）
