【現地取材】ロジスティクスソリューションフェア開幕、テーマは「『物流の転機』をチャンスに」

【現地取材】ロジスティクスソリューションフェア開幕、テーマは「『物流の転機』をチャンスに」

79社出展、2024年問題や脱炭素などへの処方箋示す

物流に関する先端技術などを紹介する大型展示会「ロジスティクスソリューションフェア2024」(主催・日本ロジスティクスシステム協会=JILS)が2月20日、東京・有明の東京ビッグサイトで開幕した。

今年は共同出展を含めて79社が参加。「産業と社会の進化を促すロジスティクス~『物流の転機』をチャンスに変えるとき~」をテーマに掲げており、海上には物流業界が抱える「2024年問題」や脱炭素、SDGs(国連の持続可能な開発目標)達成などの諸課題を克服する処方箋になり得る技術やソリューションが多数お目見えした。

会場と併せて、オンライン展示会も実施している。JILSは2月21日までの期間中、リアルとオンラインで計1万2000人の来場を見込む。


東京ビッグサイトの会場

政府の対策順守を考慮した配車・運行管理など登場

会場では、物流企業から日本通運が参加。国際海上輸送のオンライン見積もりが可能な「e-NX Quote」や国際輸送時のCO2排出量を計算できる「NX-GREEN Calculator」など、デジタルオンラインサービスを盛んにアピールしていた。

関東を地盤とする東京ロジファクトリーは多様なEC需要に応えられる独自の物流サービス「NET DEPOT」を説明した。商船三井さんふらわあは、内航海運へのモーダルシフト需要が今後さらに盛り上がると見込まれているのを踏まえ、現在運航しているフェリーやRORO船の詳細を説明。海上輸送の利点を来場者に細かく説明していた。


日通のブース

物流業界は特にDXが課題となっている現状を象徴するように、IT企業が多数展示。NECは「Beyond with NEC Logistics Platform」のコンセプトの下、共同輸配送のマッチングを後押しするサービスや通関業務のデジタル化などのソリューションを複数そろえた。

東芝グループはスマートグラスを使ったピッキング支援システム「EQSURV Picking」や、2024年問題で政府が打ち出した対策の順守を考慮したオンライン配車・運行管理システムなどをお披露目した。

富士通は「ロジスティクスデータを活用し、強靭かつ持続可能なサプライチェーンを実現」を出展のコンセプトに設定。内閣府のプロジェクトに則ってまとめられた物流情報標準ガイドラインに準拠し、企業間でデータを安全かつ容易に共有できるようにするシステム「Logistics Global Link」などを発表した。

ユニークなところでは、日本ガイシが物流DXの各種機器の安定稼働を支える超薄型・小型のリチウムイオン電池「EnerCera(エナセラ)」シリーズを搭載したデバイスをブースでPRした。


(上から)NEC、東芝グループ、富士通のブース


日本ガイシのブース

新興企業も多く参加し、オプティマインドは高精度なラストワンマイル配送向けのルート最適化サービス「Loogia(るーじあ)」を、ライナロジクスはAI活用の自動配車システムをそれぞれアピール。

Tebiki(テビキ)は現場スタッフが手軽に作業の動画マニュアルを作成できるクラウド教育システム、X Mileは物流事業者の経営を支援するシステム「ロジポケ」、Azoopは運送事業者の管理業務効率化や保有車両売買の手続き簡略化に資するサービスをそれぞれ来場者に訴えていた。シーネットはボイスピッキングシステムやEMS作業映像一発検索システムなどを展示した。


シーネットのブース

物流施設デベロッパーは、プロロジスが都市型物流施設「プロロジスアーバン」を展示したほか、温室効果ガス排出削減など入居企業を包括的にサポートするサービス内容を詳報。大和ハウス工業はフレームワークスやHacobuなどと連携し、物流領域の自動化・省人化まで踏み込んで支援しているソリューションの実態を解説した。

野村不動産は、荷主企業などと組み、業界横断的に物流効率化へ貢献可能な新技術の普及に取り組む「Techrum(テクラム)」の広範囲にわたる活動内容を報告。グッドマンジャパンは同社として最新鋭の物流施設「グッドマン常総」(茨城県常総市)をPRした。

アライプロバンスは、今年8月に竣工予定の「アライプロバンス葛西A棟」の最新進捗状況を紹介。希少な東京湾岸エリアで最小350坪から利用可能とするなど利用者本位で差別化を図っているポイントを強調していた。

物流施設に関しては、物流施設向けの人材派遣・業務請負を軸としているテイケイグループが、近年拡大している物流施設のサブリース事業にも言及。倉庫スペースの有効活用に貢献していることを示していた。


(上から)プロロジス、大和ハウス工業、野村不動産、アライプロバンスのブース

(藤原秀行)

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