大和ハウス、「24年問題」対応で中継輸送に活用可能な物流施設開発に注力

大和ハウス、「24年問題」対応で中継輸送に活用可能な物流施設開発に注力

更科執行役員が意欲、Hacobuのトラック予約受付サービス無償提供も

大和ハウス工業は3月1日、物流施設デベロッパーとして取り組んでいる「2024年問題」対策の現状に関する記者説明会を開催した。

同社の更科雅俊執行役員(東京本店長、建築事業本部営業統括部長)と、資本・業務提携しているHacobuの坂田優取締役執行役員COO(最高執行責任者)が登壇。               
更科氏は従来と同様、情報システムの開発を手掛けるフレームワークスやトラック運行管理システムを提供するHacobuなどと連携し、物流施設の荷待ち・待機時間削減や業務の自動化・省人化を後押ししていく姿勢を強調した。

大和ハウス開発の「DPL」ブランドのマルチテナント型物流施設に入居した企業に無償でHacobuのトラック予約受付サービスを提供するなど、より荷主企業や物流事業者のサポートに注力する方針を示した。

また、2024年問題対策として物流事業者の間で長距離を運ぶ際に中継輸送を採用する動きが広がっているのを受け、中継輸送に適した立地や機能を備えた物流施設の開発を進めていく意向をあらためて明らかにした。

更科氏は既に打ち出している施策として、フレームワークスが物流施設内の作業を阻害する要因を素早く正確に把握し、現場のオペレーション能力を最大限発揮しながら事業を円滑に継続できるよう後押しするシステム「Peak Perform Pro(ピーク・パフォーム・プロ)」の提供を今年7月に開始すると決めていることなどを紹介した。

中継輸送に関しては昨年7月にデンソーやエレコムなどと組み、「DPL坂戸Ⅱ」(埼玉県坂戸市)で、荷物を積載する荷台(コンテナ)部分を脱着できるスワップボディコンテナを使ったサービス「SLOC(Shuttle Line Of Communication)」の実証実験を行ったことに言及。運行所要時間の最大約30%短縮など成果があったとアピールし、今後も中継輸送に活用可能な物流施設の開発に意欲を見せた。


実験に投入したスワップボディコンテナ(大和ハウス工業提供)

更科氏は「日本全国で一番物流施設を作っているのは当社と自負している。地域ごとに最適な施設を造っていきたい。中継輸送に活用していただく場合、トラックを駐車するスペースがどの程度必要か、といった点も考える必要がある」と語った。

Hacobuの坂田氏は、輸配送効率化を支援するサービス「MOVO」の導入企業が600を超えていると普及の度合いをPR。2024年問題対応として、MOVOに蓄積している輸送経路などの膨大な物流データが事業者や業界の枠を超えて活用されていくようサポートする方向性を明示した。

また、政府が大手の荷主企業や物流事業者への規制を強化し、物流拠点での荷待ち時間短縮のための計画策定や、荷主の「物流統括管理者」配置を義務化する法案を今国会に提出したことに関連し、荷主の経営層にもHacobuのサービスを生かした物流効率化を働き掛けていくことに意欲をのぞかせた。

坂田氏は「データを可視化することで本社の方々にも使いやすくなるBIツールのような機能もわれわれは持っているので、そうしたものを活用していきたい」と語り、ソリューションを提案していく考えをのぞかせた。

(藤原秀行)

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