マニュアルや作業動線表示に活用、早期の実用化目指す
SGホールディングス傘下で3PL事業などを手掛ける佐川グローバルロジスティクス(SGL)は4月24日、AR(拡張現実)やMR(複合現実)のアプリケーション企画・開発を担うエピソテック(東京都杉並区本天沼)と、人間とARが融合する物流オペレーションの未来を実現させるため、共同開発しているARを活用した物流業務支援システムの実証実験をSGLの久喜菖蒲営業所(埼玉県久喜市)で実施したと発表した。
AR技術を用いた動画による作業教育の様子
ルート可視化によるピッキング支援(いずれもSGL提供)
実証実験は今年1~3月、久喜菖蒲営業所内の400坪のスペースを使って実施。庫内オペレーションの最適化を実現させるための手段として、倉庫内の作業とその周辺業務でARをうまく使えるかどうかを確認した。
まず、作業マニュアルにARを活用し、従来の方法と比較して教育に要する時間の削減が可能かどうかを検証。並行して作業者の作業動線をARで表示し、作業者が迷うことなく作業
に従事できるかどうかをチェックした。さらに、こうしたARコンテンツを現場スタッフでも簡単に運用可能かどうかを見極めた。
実証実験はエピソテックのAR手順書システム「Dive」で培ったAR技術を応用して開発したシステムを利用。人の判断が必要な業務をAR技術で支援することで、熟練が不要なオペレーションに進化させることをコンセプトに設定している。
実証実験では、想定を上回るデータを取得し、倉庫現場におけるARの有用性を確認できたという。
両社は、SGホールディングスグループの経営資源と外部企業の持つ新しいアイデアや技術の双方を活用して、新たなビジネスやサービスの共創を目指すオープンイノベーションプログラム「HIKYAKU LABO 2023」(ヒキャクラボ)からパートナー企業として取り組みを進めてきた。
エピソテックは今回の実験で得た結果・物流現場の知見・現場の生の声を活用し、「Dive」のブラッシュアップや新機能開発を図り、物流現場の課題解決を後押ししていきたい考え。両社でシステムの早期実用化も図る。
(藤原秀行)