帝国データバンク調査で76%が「ある」と回答
帝国データバンク(TDB)が5月16日に発表した「2019年度の設備投資に関する企業の意識調査」によると、運輸・倉庫業の76.6%が設備投資を計画していることが分かった。業界別では最も高い比率となり「社員募集強化のため社員寮の建設を検討している」などといった声が聞かれた。
調査は4月15~30日にかけて全国2万3174社(うち運輸・倉庫業427社)を対象に実施。有効回答企業数は9775社で回答率は42.2%だった。
業界別では運輸・倉庫業を筆頭に農・林・水産業(76.1%)、製造業(72.5%)の3セクターが7割超と突出しており、逆に不動産業は43.9%で唯一4割台と最も低かった。それ以外は軒並み50~60%台となっている。
全産業では62.3%の企業が設備投資計画について「ある」と回答。内訳は既に実施した(6.6%)、予定している(34.1%)、実施を検討中(21.6%)とこれから計画が本格化していく傾向がうかがえる。一方で29.6%が予定していない、8.1%が分からないと答えた。
予定している設備投資の内容は設備の代替(45.5%)がトップ、次いで既存設備の維持・補修(33.3%)、省力化・合理化(28.7%)、IT化関連(28.6%)、国内向け増産・販売力増強(21.9%)‥‥。倉庫など物流関連は7.7%と低い水準にとどまった。
設備投資の理由では「省人化・自動化・IoT化への投資を検討」「人手不足から省力化および協力工場のために設備投資を大幅に増やす予定」「品質向上のため最新検査器具を購入」「Windows7のサポート終了に伴うパソコンの入れ替え」「消費増税に伴う軽減税率対応」‥‥などの意見が並ぶ。
これについてTDBは「設備の老朽化や事務機器などのメンテナンス時期に伴う更新需要を中心に、深刻化する人手不足に対する省人化設備や情報化への投資が上位に挙がった」と分析している。
平均の設備投資予定額は1億3554万円。1000万円以上5000万円未満(26.9%)が最も高く、100万円以上500万円未満(19.6%)、1億円以上10億円未満(15.9%)と続いた。10億円以上は2.4%で従業員1000人超の大企業が中心。
TDBでは19年度の設備投資について「先行き不透明感の払拭や中小企業の経営環境改善などが要となる。政府は先行きの不透明感を緩和する政策を進めるとともに、企業が直面する環境変化などを踏まえた設備投資への支援策を提供することが重要となろう」とまとめている。
(鳥羽俊一)